党代表選挙・政策綱領「政権交代前夜」
2024/09/05政権交代前夜
〜さあ共に、この国を背負って⽴とう〜
◎ 政権政党として、⺠主主義の危機に⽴ち向かう
・ 最後の政権交代から⼗余年。内閣総理⼤⾂経験者として、歴代の政権の
所作に対する違和感は、時々に指摘してきた。ここに⾄り、⾃⺠⼀強で
培われた「与党の傲り」は、遂に限界を越えたと断じざるを得ない。
・ ⺠主主義は《六つの危機》に直⾯している。
① 臨界点を突破した政治不信
② 失われたままの「分厚い中間層」
③ 意⾒を違える他者への寛容さの喪失
④ ⼈⼝減少で存⽴の限界が近づく地域コミュニティ
⑤ 分断が加速するばかりの国際社会
⑥ 忖度がはびこる不健全な政官関係
・ 政治に信なくば、政策は能わず。まずは、政治への信頼回復が最優先の
国家課題。裏⾦がまかり通り、世襲政治家が跳梁跋扈する「古い政治」
と完全に決別し、徹底した政治改⾰でウミを出し切る。⽴憲⺠主党こそ
が「責任ある政権政党」として、改⾰の先頭に⽴つ時が来た。
・ 「分厚い中間層の復活」という先進各国共通で直⾯する困難な課題を筆
頭に、多様性を認め合う共⽣社会づくり、⼈⼝減少下での地域コミュニ
ティの維持・活性化、地に⾜の着いた確かな外交・安全保障政策といっ
た各論での政策を展開し、政官関係の歪みを正しつつ、責任ある変⾰を
主導していく。
◎ 《六つの変⾰》の実⾏
1. 政治改⾰: 「責任ある政権政党」として、徹底的な政治改⾰を主導
し、⾃⺠党のウミを出し切る
・ ⾃⺠党主導の不⼗分な内容の政治資⾦規正法改正をもって、「政治とカネ」
の不祥事を「幕引き」にするようなことは決してあってはならない。よ
り本格的な政治改⾰の「発⽕点」となるよう、我が党が更なる具体策を
先導し、⾃⺠党には出来ない⼤胆な政治改⾰のうねりを起こす。
・ 失墜した政治への信頼を取り戻すため、以下の諸点を次期衆院選に向け
た党の公約として掲げ、他党とも連携し、国⺠世論の後押しを⼒として、
実現を⽬指す。
① ⾦権腐敗政治を終わらせる政治資⾦規正法の再改正:
⽴憲⺠主党案に盛り込んだ「連座制の強化」「企業団体献⾦の禁⽌」
「政策活動費の禁⽌」の実現、国会議員関係政治団体からその他政
治団体への資⾦移動の透明化、政治資⾦「収⼊」への監査義務化等。
② 政治資⾦の更なる規律強化:
企業・団体によるパーティー券購⼊の禁⽌(まずは、徹底的なガ
ラス張り化)、旧⽂通費の使途公開と残⾦返納。
③ 政治家のなり⼿を多様化する、3つの被選挙権改⾰
・国会議員の世襲制限:政治団体(政治資⾦)の世襲禁⽌など。
・18 歳から⽴候補できる制度に:被選挙権年齢を現⾏より引き下げ
(衆議院18 歳、参議院23 歳に)。
・クオータ制の導⼊:パリテ(男⼥半々の議会)の実現を⽬指す
④ 議員定数の更なる削減
⑤ 「インターネット投票」の導⼊:
投票の意思がある⼈々の⺠意をより多くすくい上げる環境を整備
2. 「分厚い中間層の復活」、豊かな暮らしに向けた政策総動員
・ かつて⽇本では分厚い中間所得層の存在こそが、安定した成⻑と活⼒の
源泉であった。格差の拡⼤により傷んだ「中間層」の復活を期すことは、
いまや先進各国共通のアジェンダである。格差を是正して消費を活性化
し、その⽀えとなる「強い経済」を取り戻す。また、中間層からこぼれ
落ちないようセーフティネットを張り直して持続可能で安⼼できる社会
保障制度を確⽴し、誰もが必要な時に医療や介護、障がい福祉、⼦育て
⽀援など「ベーシックサービス」を受けられる社会を⽬指していく。
(1) 「全世代型社会保障」の更なる充実による、将来不安の払拭
・ 財源無視の「思いつき」を羅列しても、将来への真の安⼼はもたらされ
ない。将来世代へと負担を徒に先送りするだけの「将来世代の搾取」で
はなく、真に将来世代のために活かされる「将来世代への投資」を進め
る。
・ 消費税の半額相当を所得税の額から控除し、控除しきれない分は給付す
ることにより消費税の逆進性を緩和する「消費税還付法案」に基づき、
「給付付き税額控除」の本格的な導⼊を図る。
・ 「社会保障と税の⼀体改⾰」によって始まった「全世代型社会保障」を
基軸にして、若者世代にも安⼼と希望を与える社会保障制度のあり⽅を
具体化し、保育・看護・介護等に従事する⽅々の待遇改善など、個別施
策を順次実⾏していく。
・ 結婚や⼦どもを持ちたい⼈の希望をかなえる社会であるために、岸⽥政
権下の「こども未来戦略・加速化プラン」の妥当性を再検証し、改めて
総合的な対案を具体化する(「もっともっと良い⼦ども・⼦育てビジョ
ン」)。給⾷費無償化により⾃治体間格差を解消する。就労調整を余儀な
くさせる103 万円ないし130 万円の「年収の壁」を意識せず、将来にわ
たって⾃由かつ継続的な就労を可能とするよう、短期的な弥縫策でなく、
抜本的な対策を講じる。
(2) 教育の無償化と将来を⾒据えた教育環境の整備
・ 親の経済⼒にかかわらず、意欲と能⼒のある⼦どもたちが学べるよう、
給付型奨学⾦を⼤幅に拡充するとともに、教育の無償化を進める。併せ
て、地域で不⾜する公的な職種(医療・介護職員、教員、農林漁業従事
者等)への就業インセンティブ措置として、奨学⾦の減免措置を検討す
る。
・ ⼩中学校の教員の待遇改善を図りつつ、将来的には⼩中⾼の30⼈以下学
級を⽬指す。また、AI の発達やデジタル経済の急速な進展が進む中で、
すべての⼦どもが変化に適応しつつ、⼈間にしかない能⼒や個性を発揮
できるような環境を整備する。職業⼈へのリスキリング投資も促し、変
化に合った⼈材⼒強化を図る。
(3) 公正で安⼼感ある経済財政・⾦融政策の展開
・ 適切なマクロ経済運営の下で、中⼩企業や中堅企業を含めて持続的な賃
上げを継続する環境を整備する。
・ 財政の状況について現実的な推計や提⾔を⾏うため、政府から独⽴した
機関を設置する。
・ ⾦融政策については、⽇本銀⾏の独⽴性を尊重しつつ、物価や賃⾦等の
実体経済の状況と⾦融政策の関係性等について、⽇本銀⾏との新たな
「アコード」(共同声明)に反映させる。
(4) 「強い経済」を作るための将来投資の加速
・ かつての野⽥政権で道筋を付けた「グリーンエネルギー⾰命」「ライフイ
ノベーション推進」「農林漁業・中⼩企業を伸ばす政策」などを更に深化
させ、基礎研究などへの研究開発投資を⾏い、良質な雇⽤を⽣み出し、
リスキリングを含む⼈への投資を促すことで、働くことを軸とする安⼼
社会をつくっていく。
・ コロナ禍後の世界は、新興国を含めて、デジタル経済化(デジタル・ト
ランスフォーメーション)とグリーン経済への転換(グリーン・トラン
スフォーメーション)に向けた壮絶な国際競争を展開。半導体や⽣成AI
など先端産業の国内⽴地を促し、企業のデジタル化・グリーン化を⼤胆
に⽀援する。⽇本が世界に誇る⽂化芸術やコンテンツ産業を強化する。
・ エネルギー政策について、⾜元での安定供給の確保を⼤前提に、中⻑期
的には再⽣可能エネルギーを可能な限り⼤量に導⼊し、原発に依存しな
い社会を実現する。政府のエネルギー基本計画改定の検討状況や、需要
⾒通しなど専⾨家による検証も踏まえて、省エネルギーの推進、再⽣可
能エネルギーへの転換、⽔素社会の実現等を着実に進めていく。
・ 国際的な脱炭素化の動きに対応し、ルール・メイキングで優位に⽴つと
ともに、⾃動⾞・鉄鋼・化学をはじめとする国内産業・雇⽤への影響を
考慮し、公正な移⾏を実現する。
・ エネルギー・物価⾼騰に最も影響を受ける低所得世帯への⽀援策を充実
させつつ、社会全体の脱炭素化を推進し、輸⼊燃料になるべく依存しな
い、強靱な需給構造を作ることを主眼にした本質的な政策を講じていく。
・ いわゆるトリガー税制については、その発動には様々な課題があること
も踏まえつつ、将来の揮発油税の暫定税率の廃⽌を含め、地球温暖化対
策との関係や関連する税制のあり⽅全体を視野に⼊れた議論を進める。
(5) 中⼩企業を含めた持続的な賃上げ環境の整備
・ 持続的な賃上げに向けた環境整備のため、中⼩企業・中堅企業の思い切
った新分野への投資、デジタル化や省⼒化投資のための⽀援、価格転嫁
のための取引の適正化などを徹底的に進める。そうした施策と併せて、
最低賃⾦時給1500円(全国平均)を⽬指した段階的な引上げを着実に実
現する。
・ ⼈⼿不⾜対策や働き⽅改⾰を進めるとともに、経営者が安⼼して賃上げ
に踏み切ることができるよう、社会保険料について必要な改⾰を進める。
・ ⾮正規公務員の待遇改善をはじめ、あらゆる職種において「同⼀価値労
働・同⼀賃⾦」を実現し、働く者・⽣活者の⽴場に⽴って雇⽤の正規化
や労働条件向上に取り組む。
3. 多様性を認め合う共⽣社会づくり
・ 他者に対して寛容で多様な意⾒や価値観を包摂する社会、あらゆる差別
が解消され、誰⼀⼈取り残されない社会を⽬指す党の取組を着実に進め
る。
・ ジェンダー平等を実現するため、⻑時間労働の是正や結婚・出産・育児
環境の整備、ハラスメント禁⽌を強化する。
・ 障がい者や社会的孤⽴・孤独、ひきこもりや不登校の⽅々など、すべて
の⼈に「居場所と出番」をつくり、⽣活・就労・家族⽀援などを⾏う。
・ 選択的夫婦別姓制度を速やかに実現する。
・ 真に性的少数者の権利が保護される内容の「LGBT 差別解消法」、同性
婚や同性カップルの養⼦縁組を可能とする「婚姻平等法」を制定する。
・ ⼊国管理制度・難⺠認定制度を外国⼈の⼈権に配慮した仕組みへと抜本
的に⾒直して透明化を図り、多⽂化共⽣の取組を進める。
・ あらゆる⽣きとし⽣けるものの「いのち」を尊重し、⽝猫の殺処分をな
くすなど動物愛護への理解の深い社会を⽬指す。
4. 官⺠連携での地域コミュニティの再⽣・「インパクト国家」の実現
・ ⼈⼝減少が急激に進み、将来展望が描けない地⽅に関して、地⽅⾃治を
強化しつつ、政府としても、都市部、とりわけ東京と地⽅の格差に起因
する諸課題に国家的かつ国⼟全体の観点から対応していく。
・ 社会課題の解決に、⺠間企業⾃⾝の活⼒を活かすことも必須となる。
「新しい公共」の考え⽅を更に深化させ、「政府=公、市場=私(株主)」
の常識の転換を図り、企業や投資家が持続可能な社会に向けた公益⽬的
の投資(「インパクト投資」)を促すための仕組みをはじめ、市場経済の
発展と社会課題の解決を両⽴する、新たな社会システムを構築する。
・ 地域医療を再構築するため、予防医療の提供を促す仕組みを構築する。
かかりつけの「⽇本版家庭医制度」を導⼊し、介護など多職種連携を促
進することにより、健康増進と⽣活習慣病予防を図るとともに、余分な
投薬を削減し、健康100年の福祉国家を実現する。
・ 地域への移住、特に地⽅の主⼒産業である農業に転職しやすい仕組みを
つくり、都市から地⽅への太い⼈の流れを⽣み出して、中⼭間地域を含
む地域コミュニティを再⽣させるとともに、農業者⼾別所得補償制度を
実施し、⾷料⾃給・地産地消・⾷の安全・⿃獣害防⽌に取り組む。観光
産業やインバウンドを⽀援する。⾷料安全保障を強化する。
・ 東⽇本⼤震災や能登半島地震など各地の被災地復興⽀援に全⼒を挙げる。
国⺠の命とくらしを守るため、地域の災害対応⼒を強化し、速やかな復
旧と安⼼安全な避難体制を構築する。建設業界との協⼒の下、耐震化や
河川改修、⼭林保全、⽼朽インフラの維持更新など事前防災を進める。
5. ⽇⽶同盟を基軸とした外交・安全保障政策の展開
・ コロナ禍を経た国際社会は、様々な価値軸で分断が進み、ロシアによる
ウクライナ侵略もあり、これまで当然としてきた国際秩序の根幹が揺ら
いでいる。
・ こうした中、プロフェッショナリズムに基づく、安定した外交・安全保
障政策を展開する。「法の⽀配」に基づく、「⾃由で開かれた国際秩序」
の維持・強化を基調に据えて、分断する世界をつなぐ国際協調の努⼒も
尽くしながら、したたかに国益を追求していく。⼒による現状変更に反
対し、紛争の平和的解決の重要性を訴えていく。
・ その上で、地域の経済的繁栄の確保や紛争の未然防⽌・理性的解決のた
め、様々な分野において国際的なルール・メーキングに果敢に取り組ん
でいく。
・ ⽇⽶同盟を基軸とするこれまでの外交・安全保障政策(経済安全保障を
含む)の基本を踏襲しつつ、基本的な価値を共有する国々との連携を強
化し、平和創造外交の展開によって地球規模の課題解決に貢献する。近
隣諸国との困難な課題についても、毅然とした対応を旨としていく。外
国で抑圧されている⼈々の救済に向けた⼈権外交も⼒強く展開する。
・ ⽇本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、平和国家として専守
防衛に徹し、我が国固有の領⼟・領海・領空は断固として守り抜く。国
境の離島管理を適正に⾏うとともに、「領域警備・海上保安体制強化法
案」を成⽴させ、尖閣等の警備にも万全を期していく。外国資本による
⼤量の遊休地等の買い占めといった事態が⽣じないよう、国内の⼟地管
理も強化していく。
・ ⾃⺠党政権下で急増した防衛予算の使途は精査し、防衛増税は⾏わない。
・ 沖縄の⺠意を尊重して、⽇⽶地位協定の⾒直しや沖縄の基地のあり⽅に
ついて、地元と対話しつつ、⽶国との協議を⾏う。
・ 安全保障分野における新領域(サイバー、宇宙、電磁波、無⼈機等)や
継戦能⼒向上、⾃衛隊員の処遇などの分野を早急に強化する。
6. 「政」と「官」の健全な関係の確⽴
・ ⾏政改⾰、⾏政刷新には、不断の取組を⾏っていく。予備費の恣意的な
使⽤や基⾦事業の濫⽤など、税⾦のムダ遣いは徹底的に削減する。
・ ⺠主主義を⽀える重要な資源である公⽂書の作成・管理の適正化をはか
るため、必要な法改正を⾏っていく。
・ こうした取組を前提にした上で、政治家にとって、責任ある変⾰の実⾏
パートナーであるべき官僚たちの専⾨的知⾒を最⼤限に活⽤する環境を
整備する。
・ 特に、政治家や官邸への過度な忖度といった事態が⽣じることのないよ
う、内閣⼈事局のあり⽅も含めた公務員制度の在り⽅について再検証を
⾏う。働き⽅改⾰、待遇や職務環境の改善を進めるとともに、官僚が政
治家と共に「国を背負って⽴つのは⾃分たちである」との⾃負を持ち、
国⺠が「⽇本に⽣まれて良かった」と誇りを持てる国づくりに邁進でき
るよう、新たな「政」と「官」の関係を確⽴していく。
( 了)