かわら版 No.1405 『解明も処分も不十分』
2024/04/15自民党の派閥による政治資金パーティー裏金事件に対する対応は、余りにも遅過ぎます。岸田文雄総理大臣は昨年の臨時国会後の記者会見(12月13日)で、「信頼回復のために火の玉となって取り組む」と宣言しました。今年1月26日の通常国会召集までの間に、党として徹底して調査し実態を解明しておくべきでした。
ところが、いまだに全容が解明されていません。「いつから裏金づくりが始まったのか」「どういう金の使い道があったのか」「誰がキックバック(還流)を復活させたのか」「森元総理の関与はあったのか」など全くわからないままです。
4月4日、自民党は82名の裏金議員のうち、政治資金収支報告書の不記載500万円以上の39名だけを処分しました。実態解明が全く進んでいないため、処分内容も全く理解できません。厳正な処分とは程遠く、総じて甘過ぎるように思います。
そもそも、なぜ500万円以上が基準になるのでしょうか。裏金を受け取り脱税の疑いがあるにもかかわらず、500万円未満の40人超は処分を免れました。街頭に立っていると、「われわれは1円たりともごまかせないのに、政治家は500万円未満ならペナルティがないのか」と詰問されました。お怒りはごもっともだと思います。
処分といっても対象となった39人のうち17人は「戒告」です。即ち、「コラッ」「メッ」と叱るような軽い処分です。「離党勧告」は安倍派幹部のうちわずか2人にとどまりました。「離党勧告」や「党員資格停止」などは厳しい処分のように思いますが、のど元過ぎれば復党・復権させるケースが今までは多々ありました。
不記載金額が3番めに多い萩生田前政調会長はなぜ処分(党の役職停止1年)が軽いのでしょう。二階元幹事長は次期衆院選不出馬の表明により処分なしです。次の選挙に出ようが出まいが、不記載金額が断トツ1位の現職の自民党員をなぜ処分しないのでしょうか。
約3千万円の不記載で会計責任者が立件された宏池会の会長であった岸田総理は、なぜ処分されないのでしょうか。「党役職停止」なら党総裁を辞めなければならないし、「戒告」で自分をコラッと叱っても意味がないからでしょうか。でも、一番問題なのは、これらのすべての責任者である岸田自民党総裁が自ら責任を取ろうとしないことです。民間企業で責任者がこのような態度だと、企業はつぶれるでしょう。
11日、政治資金規正法改正に向けた議論をする衆院政治改革特別委員会が設置されました。真相究明や制度改正の攻防の舞台になりますので、私も志願して委員会に入ります。でも、本格的な審議はまだ先になりそうです。各党は法改正の方向性を既にまとめていますが、まっ先に改正案を出すべき自民党が考えをまとめていないからです。
解明、けじめ、制度改正のプロセスをダラダラやっているのは自民党です。岸田総理の指導力と危機管理能力が問われています。