かわら版 No.1389 『政治とカネ』
2023/12/18政治資金パーティーを巡る疑惑について、岸田総理は当初「各派閥が適切に対応すべき」と他人事のように語っていました。収支報告書に記載しなかったのは事務的ミスだから、訂正すればいいとたかをくくっていました。
そこで、私は11月22日の衆院予算委で「氷山の一角じゃないか、継続的に構造的に行っていた可能性がある」と、厳しく指摘しました。私もウッカリミスで収支報告書の訂正をしたことがありますが、今般の疑惑は法の抜け穴を利用したチャッカリした魂胆があるように思えたからです。
だから、「リーダーシップをふるって、どぶさらいをしなければならない。危機感が足りない」と、総理の姿勢を強く批判しました。その後、私の直感をはるかに超え、疑惑は疑獄になりました。ウッカリやチャッカリの次元ではなく、したたかにシッカリと裏金をつくっていたことが明らかになりました。
特に「安倍派」は、所属する議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入をキックバック(還流)していました。しかも、派閥と議員の政治資金収支報告書にはいずれも記載していませんでした。政治資金規正法違反です。所得としての申告もせず納税もせず、脱税を繰り返していたことにもなります。
安倍派全体での裏金は5年間で数億円規模に、さらに遡ればもっと莫大な金額に上ると思われます。前官房長官をはじめとする安倍派5人衆らに多額のキックバックがあったようです。政府与党の幹部が揃って裏金を得ていたのですから、岸田政権そのものの正当性も疑われます。
物価高に苦しむ国民にとって、コツコツ働いている真面目な納税者にとって、従業員の賃上げのために苦闘している経営者にとって、自らは裏金づくりに励む政治家の姿はどのように映るでしょうか。政治に対する信頼は地に堕ちました。
疑惑議員らは「発言を控える」と事実上黙秘権を行使しています。もはや自民党の自浄作用に期待はできません。立憲民主党は「企業団体献金禁止法案」を国会に提出しました。政治とカネの問題を根本的に解決するための法整備を主導していく決意です。
安倍晋三元総理が亡くなった昨年7月8日、「私人」である昭恵夫人へ国民の税金である政党交付金が入る政党支部が引き継がれていたことが明らかになりました。公党の支部代表が党内手続も経ずに勝手に決められるとは…。
さらにその後、当該支部及び安倍元総理の関係政治団体から昭恵夫人が代表となった政治団体への寄付など、計3億4千万円が非課税で継承されていました。立憲民主党は国会議員が引退または死亡した時、政治団体や政治資金を配偶者や3親等内の親族に引き継ぐことを禁止する「政治資金世襲制限法案」も提出しました。
自民党は裏金や世襲など前近代の政治に後退しています。政権交代こそ最大の政治改革です。