詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1384 『国家の大計を誤る経済対策』

2023/11/13

  阪神タイガースを38年ぶりに「アレ」の「アレ」に導いた岡田彰布監督は、私と同じ昭和32(1957)年生まれです。彼の存在を鮮烈に意識したのは大学1年生だった昭和51(1976)年秋、神宮球場で初めて早法戦を観戦した時でした。


  法政の先発は4年生のエース・江川卓投手。三振の山を築いて完封した上に、バックスクリーンに自ら本塁打を打つなど怪物ぶりを遺憾なく発揮した試合でした。早大ナインで唯一気を吐いていたのが北陽高校出身の1年生・7番岡田でした。藤山寛美似の少年があの江川から3安打も放ったのには驚きました。


  以来、東京6大学やプロ野球における選手としての活躍や指導者としての仕事ぶりを、1人のファンとして見守り続けてきました。近年は評論家として活動していたようですが、今シーズンの見事な采配で名将として脚光を浴びることになりました。同世代の1人としてとても励みになります。


  岸田文雄総理大臣も昭和32(1957)年生まれです。11月2日に17兆円超の巨額な経済対策を閣議決定しましたが、その評価は最悪です。自民党内でも「ダメだこりゃ」と、愛想を尽かした感が漂っています。


  特に、政権浮揚の切り札と目されていた「定額減税」(来夏に所得税と住民税を合わせて、納税者と扶養家族1人あたり年間4万円差し引く)の効果は、極めて疑問です。


  可処分所得が増えれば消費に回ると、岸田総理は「そろばん勘定」しています。しかし、減税後に防衛増税や少子化対策に伴う負担増が実施されるという不安があれば、消費を控えて貯蓄に回すのが「国民感情」ではないでしょうか。


  もっと大きな将来不安は、世界で最も深刻な借金大国・日本の財政の持続性です。これこそ、若者の多くがお金を稼いだらまず貯金する最大の理由です。総理は「所得税などの増収分を還元する」ために減税すると説明していますが、還元するなら将来世代のために増収分を財政健全化に充てるべきです。


  脱炭素化に逆行する政策も続くことになりました。ガソリン価格を抑えるため、昨年1月から石油元売り会社に補助金が給付されていますが、延長を重ね既にその財政支出は数兆円規模になっています。年末に期限を迎えるはずでしたが、今般の経済対策でも来年4月末まで延長されることになりました。


  ガソリンへの補助金による価格引き下げは、クルマの使用を増やしてCO2排出削減にブレーキをかけます。今夏の暑さは異常でした。霜月(11月)になって気温25℃超の夏日が続くのも異常です。脱炭素化を着実に進めなければならない時に、G7でガソリン補助金を続けているのは日本と英国だけです。


  今年1月から始まった電気・ガス代を抑える補助金も、来春まで続くことになりました。岸田総理は財政健全化や脱炭素化を胆力をもって推進すべきなのに、大計を見誤り小手先の弥縫策に陥っています。同世代としてとても残念です。


  

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