詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1383 『イスラエル・ハマス情勢』

2023/11/06

  昨年10月25日の安倍晋三元総理に対する追悼演説は、私の長い政治人生の中でも最も難しい演説でした。もう1つ忘れられない緊迫した場面における演説があります。2012年9月26日の国連総会における一般討論演説です。私にとっては内閣総理大臣として2回目の国連演説でした。


  国連総会開幕時には各国首脳が登壇し、1人15分以内で演説を行います。最初はブラジル。各国が忌避した1番目をブラジルが引き受けて以来の慣例です。国連本部がニューヨークにあるため、2番目はホスト国のアメリカ。3番目以降の演説者は、国連事務局が各国の希望などを考慮し順番を決めます。


  私の出番は12時から12時15分の間でした。ランチタイムと重なったためギャラリーは少ないだろうと思っていましたが、予想に反して大盛況でした。私の直前がイスラエルのネタニエフ首相(現在も含めて通算任期15年)であり、私の直後がパレスチナ自治政府のアッバス議長だったからです。


  双方の応援団や中東情勢に関心のある人が大挙押しかけ、会場は熱気に溢れていました。両雄の激しい応酬の合い間が奇しくも私の出番。しかも、尖閣や竹島を念頭に置いて、領土・領海を巡る紛争の平和的解決を訴える演説でした。


  緊迫した場面での登壇でしたがネタニエフには「お疲れ様」と握手をし、アッバスには「頑張って」と握手をしました。両者と手を握ることができる関係にあるのが日本外交の立ち位置です。パレスチナ問題は根が深くその解決は容易ではありません。しかし、イスラエルとパレスチナ自治政府との話し合いによる2国間解決を進めるしかありません。


  ただし、イスラム武装組織ハマスによる大規模テロや人質作戦は絶対に許さないという姿勢が大前提です。G7(先進7か国)のうち、米・英・仏・独・伊・加の6か国がハマスの蛮行に強く抗議する声明を発出したのは当然でしょう。


  議長国である日本は加わりませんでした。中東では独自外交を進めてきた経緯もあり、戦略的な対応なら理解できます。ところが、松野官房長官は「6か国は誘拐や行方不明者が発生しているが、在留邦人の生命・身体に被害が及んでいる情報がない」と、説明しています。


  同胞に被害がなければ「あっしにはかかわりのねえこって」で済む話ではありません。人質の中にはアジア人もたくさん含まれています。日本はアジアを代表してG7に参加している責任があります。


  北朝鮮による拉致被害や東シナ海における中国の専横を懸命に訴えても、国際社会の理解を得られなくなってしまうかもしれません。岸田外交の真価が厳しく問われています。


  唯一の光明は日韓関係です。イスラエルに派遣した韓国軍の輸送機に日本人51人が同乗して退避できました。韓国の尹大統領の英断のお陰であり、岸田総理が主導したわけではありませんが…。


  

活動報告一覧へ戻る
HOMEへ戻るpagetop