詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1364 『公邸の主の危機管理意識』

2023/06/16

  内閣総理大臣とその側近が執務する建物は「総理官邸」です。同じ敷地内に総理と家族が居住する「公邸」があります。総工費は86億円。いまも管理維持費に年間1億6千万円を要しています。


  歴代総理は官邸から歩いて0分の公邸に住みました。ところが、安倍晋三元総理は第2次政権以降、渋谷区の自宅から官邸に通うようになりました。菅義偉前総理も議員宿舎に住み続け、公邸に入ろうとしませんでした。


  2021年2月の衆院予算委で私は、当時の菅総理に対して「なぜ公邸に住まないのか」と厳しく質しました。国のトップが1分1秒でも早く官邸地下1階の危機管理センターに入ることが、危機管理の基本のキだからです。答弁は、しどろもどろでした。しかし、頑なに公邸入居を拒みました。


  岸田文雄総理は2021年12月、それまで住んでいた衆院赤坂宿舎から公邸に引っ越しました。総理の公邸入居は私以来9年ぶりでした。私は昨年2月の衆院予算委の質疑冒頭で、このことを率直に評価しました。危機管理意識の高さの表われだと思ったからです。


  残念ながら買いかぶり過ぎでした。昨年12月30日に公邸で開かれた親族18人による忘年会は、常軌を逸していました。昨年末はコロナ禍の「第8波」期間中です。都内では新規感染者が連日約1万人も確認されていました。


  そんな時に緊張感に欠けた不適切な行動と写真撮影。おまけに情報流出。危機管理の観点からすると、問題点のてんこ盛りです。岸田総理は秘書官を辞職したご子息に責任を転嫁しましたが、公邸の主の責任こそ厳しく問われるべきでしょう。


  危機管理意識の欠如の最たるは、国会会期末に吹き荒れた解散風です。北朝鮮による「軍事偵察衛星」の打ち上げに備えて、「破壊措置命令」を延長し、日本の領域に落下する弾道ミサイルなどを迎撃する厳戒態勢をとっている時に、総理は本気で解散の可能性を模索していました。国民の生命と財産を守ることよりも明らかに政局を優先していました。


  岸田総理周辺からは「売られた喧嘩は買う」と、内閣不信任決議案が提出されたら解散だという情報も飛び交いました。政治は野良犬の喧嘩ではありません。北への警戒態勢をとりながら、本気で政治空白をつくろうとしていました。内閣総理大臣として自衛隊の最高指揮官として失格です。


  結局、岸田総理は解散を見送りましたが、間違いなく求心力は低下するでしょう。


  

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