詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1352 『保育士の配置基準』

2023/03/06

  厚生労働省が2月28日、人口動態統計の速報値を公表しました。2022年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は79万9728人。1899年に統計を取り始めて以来、初めて80万人を割りました。


  少子化対策は、待ったなしです。しかし、岸田政権は「異次元の少子化対策」を華々しく打ち出していますが、危機感に欠け緩慢な動きです。3月末までに具体策のたたき台をまとめ、6月の「骨太の方針」の策定までに、子ども関連予算の倍増に向けて大枠を提示する予定です。具体的な中身が定まっていないため、岸田総理の答弁も迷走しています。


  立憲民主党の長妻昭政調会長が「(子ども予算)倍増に期待している人が多い。GDP比で倍にするのか、実態金額で倍にするのか」と、質しました。すると、総理は「中身を決めずして、最初からGDP比いくらとか、今の予算と比較してどうなのかとか、数字ありきではない」と、珍答弁。数字の根拠なくして、倍に増やす倍増なんてよく言うよと思います。政策の中身も決まっていないのに倍増って言うなと、怒りすら覚えます。


  少なくとも、公党間で約束したことは誠実に履行すべきです。2012年に野田内閣の下で民主・自民・公明の3党合意が結ばれ、「社会保障と税の一体改革」が実現しました。その際、保育士の配置基準(1人の保育士がみる子どもの人数)の見直しなど保育の質を向上させるための予算として、約3千億円を充てることとしました。


  しかし、その後の自民党政権は財源確保の努力を怠り、他の政策を優先したりした結果、保育士の配置基準の見直しは約11年も放置されたままです。この配置基準は戦後まもない1948年に定められ、一部の年齢では見直しが行われましたが、基本的には75年間も当時の基準のままとなっています。


  現在の基準は、


  ▷0歳児は、保育士1人に対して3人


  ▷1歳児と2歳児は、1人に6人


  ▷3歳児が、1人に20人


  ▷4、5歳児が1人に30人


  となっています。


  私は、船橋市薬円台の「めぐみ保育園」卒園生です。私の頃から1人の保育士が30人の子どもを担当する状況は変わっていません。欧米の倍以上の負担です。2021年におけるわが国の保育事故は2347件。事故の頻発にも配置基準が影響しているでしょう。


  子どもが目を離した間に事故に遭ってはならないと、トイレに行くのも我慢するので膀胱炎が保育士の職業病だとか。配置基準の見直しは保育の質の向上とともに、保育士の働きやすい職場づくりにもつながります。


  少子化対策をこれから議論するのではスピード感に欠けます。既に与野党間で約束していたことは速やかに実施すべきです。イライラするほど優柔不断に映ります。


  

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