詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1348 『外交・安保戦略』

2023/02/06

  昨年2月24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始しました。まもなく1年を迎えようとしています。この国際法違反に対するわが国の対応は、当初、2つの選択肢がありました。


  2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアを併合した時と同様の「緩やかな措置」か、G7(先進7カ国)の一員としての「厳しい措置」かでした。大河ドラマは「どうする家康」ですが、岸田総理は「どうする文雄」と迫られていました。


  クリミア併合時の安倍総理は、北方領土問題解決に向けた平和条約交渉を進めるため、ロシアに対する経済制裁は実効性のない「真空斬り」にとどめました。一方、岸田総理は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と危機感を抱き、速やかに欧米各国による制裁に加わりました。


  私は、岸田総理の選択を支持します。しかし、合点のいかないことが1つあります。安倍政権下に設置された「ロシア経済分野協力担当相」をなぜ廃止しないのでしょうか。西村経済産業相が今もなお兼務しています。経済制裁を担当する大臣が、経済協力のポストも兼ねています。全く意味がわかりません。ちなみに、副大臣も政務官も置かれています。国際社会からは二枚舌外交に見えるのではないでしょうか。


  日本は今年、G7議長国です。今月24日には首脳によるオンライン会議を開きます。5月には広島でサミットを主催します。ロシアによるウクライナ侵攻にG7が結束して対応するために、議長国が指導力を発揮しなければなりません。そのためにも、誤解を招くような大臣ポストは廃止すべきです。


  次は、安保戦略についてです。昨年12月16日、「国家安全保障戦略」など安保三文書が閣議決定されました。防衛装備の充実や「宇宙」「サイバー」「電磁波」といった新領域における対処能力の強化などが明記されています。いずれも必要なことであり防衛費の増額は不可避だと思いますが、それらを扱ったり担ったりする「人」がいなければ、安保戦略は絵に描いた餅に過ぎません。


  自衛隊の定員に対する実員の比率である「定足率」は、長い間9割程度で推移しています。特に、第一線の現場を担う「士」の充足率は、7割台にとどまっています。人口減少という「静かなる有事」は、人員の確保を益々困難にするでしょう。


  給料は安いし、官舎・隊舎も劣悪。警察、消防、海上保安庁は階級に関係なく六十歳で定年退職しますが、自衛隊は「若年定年制」を採用しています。私の父も再就職、再々就職では苦労していました。


  入隊後から退職まで各種の処遇を抜本的に改善し、多くの若者にとって自衛官が誇るべき職業であり、魅力ある進路となるための検討を急ぐべきです。陳腐化した武器を大量に調達するよりも、国を守る「人」の充足こそ防衛力の強化に資すると思います。


  今週の半ばあたりに衆院予算委集中審議が開かれるでしょう。その折は、立憲のトップバッターとして岸田総理に質問する予定です。


  

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