詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1346 『次期日銀総裁』

2023/01/23

  1月23日、通常国会が召集されました。同日、岸田総理大臣の施政方針演説など政府4演説が行われ、25~27日に衆参で各党の代表質問が行われます。会期は6月21日までの150日間です。


  過去最大の114兆円余の来年度予算案は、政策効果が疑わしいものが相当に紛れ込んでいます。厳しく精査しなければなりません。防衛費増額への財源確保法案なども丁寧な審議が必要です。


  これら予算案や重要法案もさることながら、今国会では「国会同意人事」(衆参両院の同意が必要な人事案件で、NHK経営委員、公正取引委員会委員長など、約40機関の250人以上が対象となっています)も要注目です。


  日銀法第23条は「総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する」と、定めています。黒田東彦・日本銀行総裁の任期は4月8日に満了します。後任人事案については、副総裁の人事案と併せて、2月中に案が示されることになるでしょう。候補者は衆参の議運委で所信を表明し、各党からの質疑に応じます。与野党はその内容を吟味して同意の可否を判断します。


  黒田日銀総裁の在任期間は、歴代最長となる2期10年でした。この間2%のインフレ目標実現のために金融緩和すれば、経済はすべて良くなると幻想を振りまき続けました。しかし、壮大な社会実験は功を奏さず、異次元の金融緩和は異次元の副作用をもたらしています。


  次期総裁に誰がなっても、基本的には金融政策の正常化に向かうでしょう。しかし、誰がやっても取り組む課題は困難なものばかりです。インフレを封じつつ景気後退を回避できるか。短期のマイナス金利や長期金利の固定化をどのように修正するか。ため込んだ国債や株式などの資産をどのように減らしていくのか。難しい政策課題ばかりです。


  金融政策を熟知している上に、胆力があり、市場との対話力のある人が適任でしょう。適材はいるかもしれませんが、引き受けてくれるかはわかりません。10年に及ぶ大規模な金融緩和の後始末をつけ、難題に挑む責任は重大です。まともな人ほど固辞するでしょう。


  しかし、誰かがやらなければなりません。岸田総理はその誰かを説得しなければなりません。総理ご自身が脱アベノミクスに舵を切る覚悟があるかどうかが問われるでしょう。


  昨年は秋から暮れにかけて、山際経済再生相、葉梨法相、寺田総務相、秋葉復興相と4人の閣僚が短期間に次々と辞める「辞任ドミノ」が続きました。全て岸田総理の人選ミスでした。


  金融政策の大転換期を迎えたわが国において、任期5年の日本銀行総裁人事のミスジャッジは絶対に許されません。春の人事を春の椿事にしてはなりません。


  

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