かわら版 No.1335 『追悼演説を終えて』
2022/10/3110月25日の衆院本会議で、安倍晋三元総理の追悼演説を行いました。テレビの生中継はありませんでしたが、ネット中継やその後の報道等でご覧いただけたでしょうか。
約23分間の演説を終えると、万雷の拍手がしばらく鳴り止みませんでした。党派を超えて故人の在りし日を偲び、追悼の誠を捧げることができたと思います。
その後、国会内で昭恵夫人と面会し、安倍氏の議席に飾られていた白いカーネーションと私の演説原稿を手渡しました。夫人は目に涙を浮かべ「野田先生にお願いして良かった。主人も喜んでいるでしょう。原稿を仏壇に供えたい」と、おっしゃられました。その言葉を聞いて、やっと肩の荷が下りました。
翌26日、衆院財務金融委員会において、鈴木俊一財務大臣が日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方、今後の金融行政の在り方について所信を述べられました。この大臣所信についての質疑が、11月2日に行われます。私も質問に立ちます。
主として、物価高騰を助長している円安について、厳しく質すつもりです。まずは、日本以外にも通貨安でインフレに悩む国をつくり出している「ドル独歩高」についてです。米国はインフレ退治に向け、3月にゼロ金利政策を解除し、積極的かつ大幅な利上げを続けています。以来、世界のマネーが米国に引き寄せられ、ドルが高騰しています。
このドル高についてイエレン財務長官は「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制であり、それを支持する」と、全く意に介していません。バイデン大統領にいたってはドル高を「懸念していない」「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」とまで言い切っています。
先進7か国(G7)と主要20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は、急激な為替の変動が世界経済に悪影響を与えるとの認識を共有していたはずです。しかし、米国政府はトップも含めて唯我独尊過ぎ、ドル高による他国への波及・影響についての配慮が足りません。世界経済の混乱を米国も望まないはずですが…。日本はきちんと米国と意思疎通できているのかどうか、質さなければなりません。
もう1つは、日本銀行の金融政策が日米の金利差を拡大させている点です。特に、黒田東彦総裁が国会や記者会見で、金融緩和の継続を繰り返すたびに円安が進行します。政府は9月22日、過度な円安に歯止めをかけようと、為替介入に踏み切りました。しかし、黒田総裁が「当面、金利を引き上げることはない」と発言した直後、急速に円が売られました。円安に誘導する口先介入と同じです。
他国の中央銀行のように利上げや金融引締めという選択肢が日銀にはないのかもしれませんが、「市場との対話」が下手過ぎると思います。その責任を黒田総裁に厳しく問わなければなりません。
故安倍晋三議員の追悼演説(20221025) 立憲民主党 国会情報より