詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1327 『我慢比べ』

2022/08/29

  ロシアがウクライナに侵攻して半年たちました。穏やかな日常が戻るのはいつになるのかと待ち続ける日々ですが、停戦の気配はありません。犠牲者は増える一方で、戦況報道に慣れてきた自分が恐ろしいと思います。


  日本を含む各国はロシアに対し、多くの経済・金融制裁を科しました。ロシアの要人や富豪の資産凍結、ロシア中央銀行の外貨準備の凍結、SWIFTと呼ばれる国際送金システムからのロシア特定銀行の排除、貿易取引の制限など…。


  制裁を発動した直後の3月9日、私は衆院財金委でその効果を鈴木財務大臣に質問しました。すると大臣は、次のように答えました。


  「実際、ロシア・ルーブルが急速に下落しているほか、ロシア株式市場の休場、ロシア国債の大幅な格下げといった状況が現に見られているところでございます。(中略)一連の経済制裁を各国で協調して実施した結果がそこに表れていると受け止めております。」


  確かに当初は制裁の効果はありました。たとえば、ロシアの通貨ルーブルの対ドル価格。侵略前は1ドル=70~80ルーブルで推移していましたが、3月には1ドル=150ルーブルと過去最安値を記録しました。しかし、今は1ドル=60ルーブル前後まで回復しています。


  ロシア・ルーブルの対日本円為替レートは、ルーブルが一時的に半値以下まで下落しました。しかし、その後の円の独歩安もあり、現在はルーブルが侵略前の水準よりさらに高いレベルにまで戻ってしまいました。


  ロシアの株式市場も一時は株価が50%も下落しましたが、いまは侵略前と同水準まで回復しています。2014年のロシアによるクリミア併合時よりも国際社会は実効性ある制裁を加えているはずですが、まだ決め手に欠けているようです。


  ロシア経済の先行きを決めるのは、石油や天然ガスの輸出動向でしょう。ロシアに対して資源輸出をどこまで禁じられるか、資源価格をどこまで低下させられるかがポイントになるでしょう。


  欧州向けの石油・ガス輸出は確実に減っていますが、中国やインドなどが輸入を拡大し補っています。戦費調達分はまかなっているのではないでしょうか。EUは年末にはロシア産石油の輸入を9割削減する予定ですが、中東など産油国の協力を得て、原油や天然ガスの供給量を増やし、資源価格を低下させる工夫も必要です。


  米国の中東外交はうまくいっていませんので、日本外交の腕の見せ所だと思います。


  制裁の効果が発現しプーチン大統領に停戦圧力をかけられるのか、日米欧が物価高と景気悪化で足並みを乱すのか。我慢比べの正念場を迎えました。早く臨時国会を開いて、日本の揺るぎない方針を議論すべきです。


  

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