かわら版 No.1323 『長引く物価上昇』
2022/07/25参院選は熱い戦いでした。そして、暑さとの戦いでもありました。全国の激戦区の応援にも奔走しましたが、気温が40度に達した地域もありました。わが家のお風呂の設定温度と同じです。
だから、「ガリガリ君」をかじり、「パピコ」をすすって涼をとりました。多くのアイスが値上げを余儀なくされている中、価格を据え置いた両製品は必需品でした。でも、企業努力も限界があり、赤城乳業はガリガリ君を江崎グリコはパピコを、それぞれ9月から値上げするそうです。
値上げの夏にとどまらず、値上げは秋も冬も続きそうです。加えて、黒田東彦・日本銀行総裁の任期は来年4月までですから、この間は円安も続くでしょう。黒田円安はさらに物価高を助長することになります。
日銀は長期金利の上限を0.25%と定め、その水準を超えないよう無制限に国債を購入して金利を抑え込んでいます。米国の中央銀行FRBは、3月に政策金利を0.25%引き上げました。5月は0.5%、6月は0.75%引き上げました。今月も0.75%上げるでしょう。年内にさらに3回利上げする予定です。
日米の金利差が拡大するたびに、ドルが買われ円が売られます。円安に歯止めがかからず、輸入物価の上昇も止まらないでしょう。物価の番人である中央銀行は、通常はインフレ局面では利上げで物価上昇を抑えようとします。しかし、日本銀行に迂闊に利上げを求めることはできません。
政府が野放図に発行した国債の過半は日銀が保有しています。その額は約517兆円です。平均利回りは0.226%。銀行などが日銀に預ける「日銀当座預金」は約563兆円。仮に日銀が利上げに動けば、預金に多額の利払いが生じ、日銀が債務超過に陥る恐れがあります。利払い増は国家財政をも窮地に追い込みます。
日銀はブレーキを踏んで物価を抑える機能を失った中央銀行になってしまいました。ブレーキの効かない自動車はクラッシュするしかないのでしょうか。政府は日銀頼みの財政を改め、財政健全化の道筋をしっかりと定めなければなりません。日銀も「出口戦略」の議論を封印せず、国民ときちんと対話しながら金融の正常化をめざさなければなりません。
物価高や円安は参院選の大きな争点でした。残念ながら議論が深まったとはいえませんでした。参院選が終わったとはいえ、依然として最も困難かつ重要な課題です。引き続き論陣を張っていく決意です。