かわら版 No.1319 『野田VS岸田第2R』
2022/06/066月1日、衆院予算委員会において、ウクライナとの連帯の気持ちを胸に、日本の対ロシア外交を検証する質問をしました。平日の午後3時過ぎの質疑時間でしたので、視聴率は低かったと思いますが…。
冒頭、私が総理大臣時代、首脳会談でプーチン大統領に待たされた経験に言及しました。「(巌流島の決闘の)宮本武蔵かよと思いました。じらしながら、人を試すのが彼の癖」と指摘しました。
岸田総理も外相時代に会談したプーチン大統領が、面会時間に2時間近く遅刻したエピソードを紹介しました。「駆け引きとは言わないが、さまざまなやりとりをされる方だと認識した」と述べられました。その曲者に翻弄されてきたプロセスを辿りながら、安倍・岸田外交を振り返る形式で質問を進めました。
2014年3月、ロシアによるクリミア併合に対し、欧米諸国は経済制裁を行いました。日本もロシアに制裁を科しながら、2016年5月になると8項目の経済協力プランを提案します。9月は対ロシア担当経済協力大臣を新設します。12月には北方領土における共同経済活動を行うための協議を開始します。
制裁を科しながら矢継ぎ早に協力も推進する「新しいアプローチ」と呼んだ手法は、要は2枚舌外交です。経済協力でロシアの肩をほぐせば領土交渉で譲歩してくる、という根拠のない楽観に基づく安易なアプローチだったと厳しく指摘しました。
岸田総理は、日ロが北方領土での共同経済活動実現に向けた協議開始で一致した16年の首脳合意に関し「大変重要な取り組みだった」と強調しました。私は、ロシアは首脳合意後、憲法を改正し領土割譲を禁止したことを指摘しました。
77年前の終戦間際、火事場泥棒に北方4島が不法占拠されました。それらの島々を人質にジャパンマネーが引き出され、今度は食い逃げされました。その厳しい総括と深い反省を総理答弁から感じることはできませんでした。
最後に、ウクライナ戦争の出口について質しました。出来るだけ早く戦闘を止め停戦交渉を行うべきか、ロシアがその侵略に高い代償を支払うまで戦い続けるべきかと。2者択一で答えにくいテーマだったと思いますが、総理は慎重なわかりにくい答弁でした。
私は、後者に軸足を置いていると言明しました。プーチン大統領は親ロ派武装勢力の強い地域からの要請による集団的自衛権の行使だと、対外的に侵攻の理由を説明しています。この論理によれば、モルドバやグルジアなども侵攻されるからです。
予算委における岸田総理との論戦は、2月に続いて2回めでした。大所高所から落ち着いた議論はできたと思います。次は6月8日、主戦場の財務金融委員会で質問に立ちます。