かわら版 No.1307 『ロシアによるウクライナ侵略』
2022/03/08ウクライナをめぐる情勢については昨年末来、国境付近におけるロシア軍増強が続く中、国際社会は緊張の緩和と事態の打開に向けて懸命な努力を重ねてきました。
しかし、2月21日、プーチン・ロシア大統領はウクライナの一部地域の「独立」を一方的に承認しました。そして、同24日、ロシアはウクライナへの武力攻撃、侵略を開始しました。
このようなロシアの行動は、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章に反します。
力による一方的な現状変更は断じて認められません。この事態は欧州にとどまらず、日本が位置するアジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがしかねない暴挙です。
衆議院は3月1日、改めてウクライナ及びウクライナ国民に共にあることを表明しました。そして、ロシアに対し、即時に攻撃を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう強く求めました。
政府においては、ウクライナに在住する邦人の安全確保に全力を尽くすべきです。経済制裁や人道支援において、G7をはじめとする国際社会と一致した措置をとることを支持します。
私は、プーチン大統領と2回首脳会談を行いました。まずは2012年6月、メキシコで開かれたG20首脳会議の折でした。1時間以上も待たされました。次は同年9月のウラジオストクAPEC首脳会議。ロシアの若者500人を3日後に日本観光させたいので、至急ビザを発給してほしいと要請されました。
遅刻への怒りは抑え、無理筋の要請にも外務省が突貫作業で応えました。これらの経験から、プーチンという人物には「試す」という悪癖があることがよくわかりました。
2014年3月のロシアによるクリミア編入は、プーチン大統領が国際社会の連帯を試した場面でした。欧米諸国は制裁を科したりしましたが、断固たる対応を持続させたわけではありませんでした。特に「ウラジミール」「シンゾー」と呼び合う関係にあった当時の安倍政権は、実効性の乏しい軽微な制裁にとどめ、「真空切り」と揶揄されました。
クリミア併合という力による現状変更の試みの成功体験が、今回のウクライナ侵略を招いたのではないでしょうか。国際社会が毅然とした対応を怠れば、次はバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)が侵略されるでしょう。
東アジアにおける力による現状変更の試みを阻むためにも、日本も今回は微温的な対応でごまかすべきではありません。安倍・プーチン会談は27回も実施しましたが、2島先行返還どころか石ころ1つ返ってきませんでした。
2016年5月、対ロシア経済協力として8項目の「協力プラン」の実施が合意され、今日まで続けられてきました。令和4年度予算案にも計上されています。これらも進めるべきではありません。