かわら版 No.1305 『G20欠席を質す』
2022/02/21G20は日、米、英、仏、独、伊、加の主要先進国(G7)にロシア、EU、および中、印、韓などの11か国の主要新興国を加えた計20の国・地域で構成されています。G20の国内総生産(GDP)を合計すると世界の90%を占め、貿易総額は世界の80%になります。世界経済の安定的かつ持続的な成長のために、主要国がグローバルな課題を議論する舞台としては最も重要な国際会議でしょう。
折しも世界的にインフレ懸念が強まっている上に、ウクライナ情勢によってはさらに資源や穀物が高騰するリスクも高まってきました。米国の利上げの動きが世界に及ぼす影響についても、各国が固唾を飲んで身構えています。このような緊迫した状況の中で2月17日及び18日、G20財務相・中央銀行総裁会議がインドネシアのジャカルタで開催されました。
ところが、この重大な局面に際して開かれた重要な国際会議を、鈴木俊一財務大臣は欠席しました。私はG20開催直前の2月15日、衆院財金委において「なぜ出席しないのか」と大臣に迫りました。これに対し鈴木大臣は「国内の政治日程などを総合的に勘案し…」と、極めて曖昧な答弁に終始しました。
全く理解できませんでしたので、「大臣が出席できないなら、なぜ副大臣を派遣しないのか」と、更にたたみかけました。実は2009年11月にスコットランドのセントアンドリュースで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議に、当時の藤井裕久財務大臣に代わって財務副大臣であった私が出席した経験があったからです。
大臣答弁はより一層しどろもどろになりました。大臣、副大臣、大臣政務官の政務3役というチームをつくっている意味がわかっていないのでしょうか。適切に役割を分担すれば、国会開催中の国際会議にもきちんと対応できるはずです。
ちなみに、鈴木大臣は昨年10月13日にワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議も欠席しています。翌14日の衆院の解散と日程が重なったからです。岸田総理も昨年10月31日にローマで開催されたG20首脳会議を欠席しています。衆院選の投開票日だったからです。
総理大臣や財務大臣のG20よりも国内政局を優先する態度を、国際社会はどのように見ているでしょうか。世界の中でますます存在感が希薄になってしまいかねません。岸田政権の内向きな悪弊を深く憂慮します。
15日の衆院財金委では、黒田東彦日本銀行総裁とも足元の金融政策について丁々発止の議論をしました。また、18日の衆院予算委集中審議においては、岸田総理と初めて議論を交わしました。これらについては、別途ご報告させていただきます。