かわら版 No.1277 『脅しの政治体質』
2021/07/19新型コロナウイルスのワクチン接種券が届いたので、早速スマホで予約。簡単に手続を完了できました。そして、15日、旧船橋グランドホテルで集団接種。入り口の案内、受付と予診、待機、問診、注射、経過観察とスタッフの皆さんの行き届いた対応により、1回めの接種を無事に終えることができました。
「第5波」ともいえる感染の拡大に伴い、菅政権が強化しようとした新型コロナ対策は、飲食店による酒類の提供自粛を徹底することでした。しかし、今や感染経路の大半は同居者と職場です。会食による感染は1割に満たないはずです。特定の業界を感染拡大の元凶扱いにする手法に、違和感を覚えます。
しかも、西村康稔経済再生担当相が当初示した対処方針は、強権的な脅しでした。第1は、酒類の提供を止めない飲食店に対して、金融機関を通じて圧力をかけようというもの。第2は、酒類販売業者に非協力的な飲食店との取引停止を求めるもの。
コロナ禍で苦境にある飲食店を助けようとするのではなく、銀行や町の酒屋に脅しをかけさせようという方針ですから、筋が悪過ぎです。各界の猛反発により、いずれの方針も撤回に追い込まれました。緊急事態宣言を繰り返しても実効性が薄く、その焦りが空回り続きの西村大臣を、優越的地位を背景とした強要にはしらせたのでしょうか。
上から目線の強権的な体質は、西村大臣だけではありません。たとえば、平井卓也デジタル改革相。東京オリンピック・パラリンピック向けに国が開発したアプリの事業費削減をめぐり、内閣官房IT総合戦略室の会議で同室幹部らに、請負先の企業を「脅した方がよい」「徹底的に干す」などと指示していたことが明らかになっています。
脅しのようなやり方を好むのは、菅政権全体の体質かもしれません。謙虚な人が権力を握れば、その行使は抑制的になります。独善的な人が権力を握れば、その行使は乱用されがちです。後者の傾向が顕著になってきました。
国会開催中ならば、平井、西村両大臣は厳しく責任を追及されるはずです。しかし、通常国会の会期延長は阻まれ、臨時国会の召集要求も無視されそうです。とすれば、総選挙でお灸をすえるしかありません。
平井大臣の地元は香川1区。3代目の世襲政治家であり、親族が地元の新聞・テレビ・ラジオを経営しており、香川では「王国の王」と呼ばれているそうです。対するは映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で注目されつつある立憲民主党の小川淳也議員。政治家としての資質では圧倒しているはずの小川議員ですが、小選挙区の戦績は1勝5敗(そのうち4回は比例復活)と分が悪い。今度こそ勝利してほしいと思います。
西村大臣は義父が衆院議員でした。選挙区は兵庫9区。圧倒的な保守地盤なので、西村氏はこれまで盤石でした。しかし、今回は野党は共闘して有力候補を擁立し、ジャイアントキリング(番狂わせ)を起こさなければなりません。