詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1268 『政治とカネ』

2021/05/06

  参院広島選挙区再選挙は、公職選挙法違反で有罪が確定した河井案里氏の当選無効に伴うものでした。河井元法相夫妻による大規模買収は、自民党本部が提供した「1億5千万円」もの政治資金が原資でしょう。この金額を初めて聞いた時、私は40年余前にタイムスリップしました。


  大学に入り政治学を学んでいた時、かつて英国にヘンリー・ジェームズという偉大な政治家がいたことを知りました。彼は1883年、腐敗防止法をつくった立役者です。当時の英国では買収選挙が横行していました。3千票獲得するために、日本円で換算すると「1億5千万円」も票の売り買いが行われていたそうです。1票5万円という相場に大変驚いたことを憶えています。この金権風土を塗り替えようと立ち上がったのがジェームズでした。約140年たった今日の英国では、腐敗政治は根絶されています。


  私は1987(昭和62)年、金権風土千葉を変えようと寸志を抱いて、徒手空拳で県議選に挑み当選。1993(平成5年)、政治改革を掲げ衆院選初当選。翌94年、細川内閣の下で連座制を強化した公職選挙法改正を含む政治改革関連法が成立。尊敬するヘンリー・ジェームズに1歩近づけた高揚感を味わうことができました。


  しかし、数十年前の日本や百数十年前の英国に、時計の針を巻き戻すようにわが国の政治倫理は後退しています。


  衆院北海道2区補選は、今年1月に収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農水相の辞任に伴うものでした。大臣在任中に大手鶏卵生産会社の元代表から、大臣室などで現金500万円の賄賂を受け取ったとされています。

  「たまご屋、お主も悪よのう」

  「いえいえ、大臣ほどでは…」


  時代劇の定番のような袖の下の受け渡しが、白昼堂々と農水大臣室で行われていたとは…。空いた口が塞がりません。時代は江戸時代まで逆戻りしているかもしれません。


  次官をはじめ農水省幹部も鶏卵会社元代表との会食に招かれ、接待を受けて処分されました。利害関係者との会食や接待は、総務省でも明らかになったことはご案内のとおりです。政治倫理のみならず公務員倫理も大きく後退しています。腐敗の「まん延防止等重点措置」を、千代田区永田町や霞が関に適用しなければなりません。


  19世紀の英国の歴史家・アクトン卿は、「権力は腐敗しがちであり、絶対的権力は絶対的に腐敗する」と、格言を残しました。安倍・菅1強政権も、腐臭のプンプンする政治を復活させました。多弱の野党にも大きな責任があります。


  4月25日の衆参補選・再選挙は、立憲民主党を中心とする野党系候補が3勝しました。さらに解散・総選挙への備えを加速し、1強多弱を克服しなければなりません。


 

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