かわら版 No.1256 『緊急事態延長』
2021/02/08夕方になるとその日の新規感染者数をチェックする癖が、いつのまにかついてしまいました。特に、影響力の大きい首都東京の数は気になります。毎日ニュースを見て、一喜一憂している方も多いのではないでしょうか。
最近は新規感染者数も減ってきましたが、2月7日に期限が切れるはずだった「緊急事態宣言」は、3月7日まで延長されることになりました。医療供給体制などが依然として厳しい状況が続いていますので、やむをえない判断だと思いますが…。
となると、1月7日の菅総理による強気な発言は何だったのでしょうか。緊急事態宣言発令後の記者会見において、普段は答えを差し控えることが多い総理が、次のようにきっぱりと言い切っていました。
「1か月後には必ず事態を改善させる」
「1か月の中で感染拡大を絶対阻止する」
片言隻語には鷹揚な私ですが、最高責任者が重要課題の重大な局面において、「必ず」や「絶対」など断定的な言葉を迂闊に使うべきではないと思います。揚げ足をとるのとは次元が違います。国のトップの言葉の重みの問題です。
賢母が静かに諭すように国民にメッセージを発信し続けているドイツのメルケル首相。窮屈な都市封鎖がいつまで続くのかと問われた時は、「今日、ただ措置解除の日にちを言い、その約束が守れないとしたらとても無責任なことです」と、言葉を選んで慎重に回答しました。根拠なく空っぽの約束をするより、わからないことは明言しないほうがはるかに誠実だと思います。
さて、国会では新型コロナウイルス対策を強化する「新型インフルエンザ等対策特別措置法」などの改正案が、2月3日に成立しました。元々の政府原案は「はじめに刑事罰ありき」の枠組でしたが、立憲民主党は自民党と交渉し、以下の4点で罰則を緩和する修正で合意しました。
第1に、入院拒否者を対象とした刑事罰の「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を削除し、行政罰の「50万円以下の過料」に変更しました。むしろ入院したくてもできない感染者をどうするかという課題にこそ、政府は真正面から取り組むべきです。
第2に、保健所などによる「積極的疫学調査」を拒否した人に対する「50万円以下の罰金」を削除し、行政罰の「30万円以下の過料」に変更しました。刑事罰はこれですべて撤回されることになりました。
第3に、緊急事態宣言下で営業時間の短縮命令などを拒否した事業者への過料額を「50万円以下」から「30万円以下」に減額。
第4に、緊急事態宣言の前段階で予防策を講じる「まん延防止等重点措置」下で、拒否した事業者への過料額を「30万円以下」から「20万円以下」に減額です。
衆参ともに与党が絶対的多数を占める国会で、野党の要求に沿った修正が実現できたことは一定の前進です。でも、我々は昨年12月2日に改正案を提出していました。その時に審議していれば、緊急事態宣言前に法案が成立していたはずです。遅過ぎです。