詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1254 『独立性を脅かす権力』

2021/01/25

  権力や時勢に左右されることなく、公正中立に専門的な判断を行わなければならない仕事があります。その使命を貫くためには政治による介入を防ぎ、組織の独立性が担保されなければなりません。しかし、その独立性が損なわれるようなケースが散見されるようになってきました。


  まずは、1998年の新日銀法によって、高い独立性を獲得したはずだった日本銀行です。2013年4月から始まった異次元の金融緩和により、日銀は大量の日本国債を購入し続けています。現下のコロナ対策の財源も、日銀引き受けの国債に依存しています。金融政策と財政政策が一体化しているというよりも、中央銀行が政府の下請けになりつつあります。


  中央銀行が株式市場で上場投資信託(ETF)を買い入れ続けている国は、世界の中で日本だけです。日本経済がうまくいっているかのように見せかけるための機関に、日銀は成り下がっているのではないでしょうか。


  次は、法の番人といわれる内閣法制局です。法令の解釈について各府省へ意見を述べたり、各府省が立案した法律案等の審査をしている組織です。そのトップである法制局長官は、法制局の実務を経験し幹部に上がった者が任用されるのが長年の慣行でした。


  しかし、安倍前総理は2013年8月、法制局で勤務経験のない元外務官僚を長官に抜擢しました。集団的自衛権が行使できるように憲法解釈を変えるためでした。異例というよりも、あまりにも荒っぽい人事でした。


  続いては、検察の独立性です。昨年1月末に、当時の東京高検黒川検事長を検事総長にするための前例のない定年後の勤務延長が、なり振り構わず閣議決定されました。黒川氏が賭け麻雀で辞職したため、うやむやになっていますが…。


  検察人事への介入は、安倍前総理の桜を見る会前夜祭問題、河井元法務大臣夫妻の疑惑や最近明らかになった吉川元農水大臣と鶏卵会社との関係など、政治とカネの問題に蓋(フタ)をするためだったのではないでしょうか。


  安倍前総理の路線を継承する菅義偉政権においても、日本学術会議会員の任命問題が明らかになりました。なぜ6名が任命拒否されたのかと問われるたびに、菅総理は「総合的、俯瞰的」と繰り返すだけ。チンプンカンプンな意味不明な答弁です。


  学の独立は、わが母校・早稲田大学の建学の精神です。権力や時代におもねることなく、科学的に教育や研究を行うことだと理解しています。学問の自由の本質に関わるだけに、菅総理にはきちんと説明する責任があります。


  安倍・菅政権下で、中央銀行、内閣法制局、検察、学問といった分野で、各々の独立性が脅かされています。権力の作法として、私は間違っていると思います。


  

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