詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1242 『米中対立の狭間で』

2020/10/19

  故中曽根康弘元総理の内閣・自民党合同葬が、10月17日に行われました。父の49日法要と重なったため、私は残念ながら参列できませんでしたが、改めて国家を背負った大先輩に哀悼の誠を捧げます。


  かつて中曽根元総理から、「外交は国のトップの仕事です。外務大臣はアシスタントです」と、薫陶を受けたことがあります。実際に自分も総理を経験し、全くその通りだと思いました。私の総理在職期間は1年4か月でしたが、この間に16回海外に出張しています。在職日数は482日でしたが、161回も官邸で各国首脳等と会談しています。月1回ペースで海外出張し、3日に1回は官邸で海外からの要人を迎えていました。


  菅総理も同様の日程になっていくでしょう。官房長官を7年8か月も務めた方ですから、内政全般については精通されていると思います。しかし、外交手腕については全く未知数です。どのような経綸の下で首脳外交を推進するのか、私は強い関心をもっています。


  安倍前総理の外交は、トランプ氏やプーチン氏との個人的な信頼関係を前面に打ち出す特徴が際立っていました。しかし、その蜜月関係の成果は不分明でした。特に、日米関係は「米国第一」を振りかざすトランプ氏に翻弄され、地球温暖化、中東和平、核廃絶などで培ってきた日本外交の独自性が発揮できませんでした。


  菅総理が、この米国追従路線を継承することは困難です。なぜならば、11月3日に行われる米国大統領選挙の結果が直ちに判明せず、極度に緊張した状況が暫く続くだろうからです。トランプVSバイデンの第1回討論会は、老人会の口喧嘩のような罵り合いでした。選挙後も泥仕合になりそうです。


  大統領選挙が終わっても大統領が決まらない混迷、郵便投票の不正を理由にトランプ氏がホワイトハウスに居座るという混乱が続けば、世界中が困惑するでしょう。混迷・混乱の米国を、日本も追従できません。主体性、戦略性が厳しく問われることになります。


  誰が大統領になっても、米中対立の構図は変わらないと思います。米国議会では共和党も民主党も、中国のウイグルやチベットにおける人権侵害、国際法を無視した香港への対応、知的財産権侵害などに対して強硬な姿勢を示しているからです。


  習近平氏の進める攻撃的な「戦狼外交」(戦狼とは中国で大ヒットしたアクション映画のタイトルで、国内外の敵から中国の国益を守る戦士を意味する)には、米国のみならず欧州、オーストラリアやカナダ、インドなど各国が警戒しています。中国船が連日尖閣沖に侵入し続けているわが国も、各国と連携して中国の攻撃的手法に対しては毅然たる態度で臨むべきです。


  唯一の同盟国である米国と最大の貿易相手である中国の対立のなかで、わが国は難しい選択を迫られる場面が多くなるでしょう。狭い隘路に国際協調の途を見出していかねばなりません。


  

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