かわら版 No.1241 『Go Toキャンパス』
2020/10/12新京成と東葉高速鉄道が乗り入れる北習志野駅で「かわら版」を配っていると、近くにお住まいの女性がわざわざ訪ねてこられました。お話の主旨は次のようなものでした。
「今春息子が都内の私大に入学しました。しかし、新型コロナウイルス感染防止のため、ずっと無味乾燥なオンライン授業を受けています。小中高では対面授業が行われているのに、なぜ大学だけが対面に慎重なのでしょうか。授業の質を確保できないのなら、授業料を減免してほしいものです。」
その数十分後、通勤途中の別の女性が声を掛けてきました。内容は次のとおりでした。
「夢と希望をもって息子は大学に入学しましたが、オンライン授業が続きキャンパスに行ったことがありません。ずっと家にいますから、サークル活動に参加できないし、友達もできません。味気ない生活が続き、精神的にも参ってきているようです。」
同じ日同じ場所の限られた時間の活動中に、奇しくも大学1年生の子を持つ親御さんのご心配の声に接しました。同様の悩みや不安をもつ大学生やご父兄が、たくさんいらっしゃるだろうと思われます。
9月下旬から多くの大学で後期授業が始まりましたが、文部科学省の調査によると「全面対面」は全体の2割弱にとどまり、オンライン主体の傾向に変わりはないようです。大学はどんなところかを経験できないまま、悶々としている若者たちの不満が限界に達しつつあります。
もちろん、オンライン授業の利点もあります。ですから、コロナ禍を契機としてオンライン環境の整備に努めることは、教育現場のデジタル化を推進する上で重要です。
しかし、大学の本質はやはりキャンパスにあると思います。そこに通い教員の謦咳に接し知的刺激を受けること、多様な個性の学生と出会って意見を交わすことに学びの意義があります。キャンパスは熱伝導の空間です。人との接し方については細心の注意を払い工夫を凝らしながらも、学生たちがキャンパスで勉強できない異常事態の1日も早い解消に全力を尽くすべきです。
「Go To キャンペーン」には、1兆円以上の予算が使われます。観光へ、レストランへ、イベントへ、商店街へ行こうと促すことを否定するつもりはありません。併せて、対面授業ができるような公的支援も検討し、学生たちがキャンパスに行けるようにすることも急務だと思います。
国勢調査の回答期限は10月7日でしたが、6日時点の回収率が53%と極めて低調でした。私は既に郵送で回答しましたが、まだ済ませていない方は、ネット・郵送とも回答期限がともに10月20日まで延長になりましたので、是非ご回答ください。
国勢調査は、わが国の最も重要かつ基本的な統計調査です。