かわら版 No.1224 『正念場の組織と制度』
2020/05/21世論の圧力のお蔭で「検察庁法改正案」の採決が見送られることになりました。黒川検事長の賭けマージャン報道を官邸が事前に察知したからかもしれません。ただし、あくまで先送りですので、法案の撤回を求め続けていく決意です。国会が正常化しましたので、5月19日の衆院財金委で質問に立ちました。コロナ禍関連で地域金融とマイナンバー制度をとり上げました。
地方銀行等の地域金融機関は人口減少と低金利環境により、コロナ発生前から厳しい経営状況にあります。それに加えて、昨今の株式市場の混乱で損失が出たり、取引先の倒産に備え貸倒引当金を積み増すなど与信コストも増加しています。2020年3月期決算が出そろいましたが、約7割の地方銀行が減益となっています。
つまり、自行の財務の健全性を保ちながら、地元の取引先の資金繰り支援をしなければならないわけです。間違った判断をすれば、将来不良債権化するリスクもあります。そこで、私は、新型コロナの感染拡大は地域金融機関をふるいにかける試金石になるのではないか、と質しました。麻生大臣も「銀行の経営能力が問われるんだと思っております」と、同じ認識を示されました。
コロナ不況が長引けば実体経済は更に悪化し、地域金融機関が破綻し、地域経済が崩壊するリスクもあります。最悪の場合に備えて、地域金融機関への予防的資本注入も想定しておくべきだと、大臣に提案もしておきました。
マイナンバー制度も正念場です。1人当たり10万円給付のオンライン申請に必要なマイナンバーカードを巡り、自治体の窓口に人が殺到し混乱しています。カードの普及率は16%程度でしたが、今回急速に国民の関心が高まり、1日に8万件も申請が来るようになったそうです。既にカードを入手していても暗証番号を忘れてしまった人が多いことも、混乱に拍車をかけているようです。
そもそもマイナンバー関連法案を閣議決定したのは、2012年2月野田内閣の時でした。消費税の逆進性対策として有効な「給付つき税額控除」を実現するためでした。法案が成立したのは安倍内閣になってからですが、マイナンバー制度は私にとっても思い入れのある制度です。
ですから、混乱含みではありますが今回の騒動を奇貨として、迅速な給付を可能とするデジタル時代のセーフティーネットとして、その利便性や必要性をもっと啓発すべきだと、政府にはっぱをかけました。
麻生大臣には、マイナンバーと銀行口座との連動が不可欠ではないかと、迫りました。「ぜひ付番を確実に進めていくように、これは業界に対しましても私どもとしては要請を行わせていただいております」と、大臣は答弁しました。業界への要請ではなく、制度として義務化すべきです。質疑は時間切れになってしまいましたが、引き続き提案していく決意です。