かわら版 No.1216 『五輪延期やむなし』
2020/03/30前回の東京五輪開催時、私は小学1年生でした。「巨人・大鵬・卵焼き」が子どもの大好きなものの代名詞だった時代ですから、野球と相撲はよくテレビ観戦していましたが、五輪の自国開催を通じて多種多様なスポーツの魅力を知ることができました。
「ローハイド」などの西部劇や4の字固めのデストロイヤーなどのプロレス選手を通じて、アメリカ人という外国人の存在は承知していました。が、柔道のヘーシンク、体操のチャフラフスカ、マラソンのアベベらの活躍を通じて、オランダ、チェコ、エチオピア等の国々を初めて知りました。
56年前の五輪自国開催が、1年坊主の見聞と視野を飛躍的に広げたことは間違いありません。私より上の世代は、約半世紀前の大イベントをより鮮烈に記憶されていることでしょう。ちなみに、次のオリンピック・パラリンピック開催地は2024年のパリです。パリ開催は1924年以来2回めですが、百年前の自国開催を憶えているフランス国民はほぼ皆無でしょう。その意味では、生きている間に五輪の自国開催を2回も経験できる国に生まれて、本当に良かったなあと思っていましたが…。
昭和39年当時、「4年たったらまた会いましょうとかたい約束夢じゃない」という歌詞が、いまだに耳に残っている三波春夫の「東京五輪音頭」が大流行していました。しかし、4年に1度の祭典が夏冬通じて初めて延期されることになりました。
安倍総理と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話協議し、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年東京オリンピック・パラリンピックを1年程度延期することが決まりました。残念なことですが、万やむを得ないと思います。
代表を選考する競技会が相次いで中止となっています。出場権を得ている選手も安心してトレーニングを続けられる状況ではありません。イタリアは伝統的にフェンシングや自転車競技が強い国ですが、医療崩壊が発生し選手団を派遣できる状況ではないでしょう。レスリングや重量挙げに有望選手がいるイランも同様でしょう。
さらに1年も体力・気力を維持し続けるのは、アスリートにとって大変なことでしょう。が、全ての国の選手がフェアにベストを尽くせる環境が整うまで、頑張ってほしいと思います。
五輪観戦を心待ちにしていた人たちにとっても、現状は楽しむ余裕がありません。人が移動したり集まることができなければ、経済も停滞します。各国政府は感染を終息させ、万全な経済対策を講じなければなりません。
五輪は、スポーツを通じた平和の祭典です。世界の人々が楽しめる状況を、2021年には是非とも創出したいものです。