かわら版 No.1196 『実らぬ秋』
2019/11/05千葉県を中心とした東日本は、台風15号、19号、そして、今回の21号に伴う記録的な豪雨が重なり、甚大な被害が発生しました。まさに、トリプルパンチです。
15号及び19号については、地方財政の負担を緩和し、被災者に対して助成を行うため、国が特別に財政支援する「激甚災害」の指定が行われました。21号に伴う大雨についても激甚の指定が検討されています。
被害が広範囲だった19号については、被災自治体の人手不足を補うため、国が人的支援を行う「非常災害」にも指定されました。国も自治体も復旧に全力を尽くさなければなりません。
田畑の冠水、ハウスの倒壊、果実の枝折れや落下など、3つの台風は深刻な農業被害もひき起こしました。台風15号による農林水産業の被害額だけでも、東日本大震災による被害額約346億円を超え、千葉や茨城など12都県で509億2000万円に上りました。
千葉県のびわ出荷額は全国第2位です。が、南房総市を中心とした県内びわ農家の8割が、強風によりびわの木が倒れるなどの被害にあいました。びわは結実まで7年かかります。木が折れるだけでなく、農業者の心まで折れかねません。廃業を考える高齢の農業者が出始めたら、千葉県の名産もなくなってしまいます。
台風19号による農林水産関係の被害額は、38都府県で1223億8000万円でした。千曲川が決壊した長野市では、リンゴ農場や田んぼが冠水しました。イチゴの生産量が日本一の栃木県では、鹿沼市や佐野市でハウスが倒壊したり水浸しになり、特産のイチゴに大きな被害がでました。今年のクリスマスは、イチゴ不足になるかもしれません。
15号と19号の被害額を合わせると1700億円を超えます。これに21号の浸水被害を加えると、被害規模はさらに膨らむでしょう。特に、収穫期の千葉県特産の落花生は、八街市や富里市で大きな損害が確認されています。
台風による連続被災は、「実りの秋」を「実らぬ秋」に暗転させました。このような厳しい状況の中、11月10日(日)に第52回船橋市農水産祭が地方卸売市場で開催されます。毎年皆勤だった私ですが、今回は山梨で講演が入っているため、式典には出席できません。イベント終了までには急いで帰船し、顔を出したいと思います。
農水産祭には、採れたての新鮮な農産物や水産物が集まります。即売会もあり、人気の品はすぐに完売してしまいます。祝い餅まきやマグロの解体ショーなど、楽しい企画も盛りだくさんです。こんな困難な時こそ、多くの消費者にご参集いただき、頑張っている生産者を鼓舞し、士気を高めていただきたいと切に願っています。