かわら版 No.1179 『財政的幼児虐待』
2019/06/03衆院本会議で5月28日、子どもへの体罰禁止などを柱とした児童虐待防止法等改正案が全会一致で可決しました。野党5会派は共同して対案を提出していましたが、与党との修正協議が整ったので賛成しました。
野党が修正要求していた保護者への再発防止プログラム実施を児童相談所(児相)の努力義務とすることや、子どもの転居に伴う児相間の引き継ぎの徹底など約10項目を改正案に盛り込めたからです。
法案は衆院を通過し、参院に送付されましたが、6月中旬には成立する見通しです。この国会の動きを踏まえて、私と千葉13区で活動している立憲民主党の宮川伸・衆院議員は、直ちに行動を起こしました。
千葉県内には7つしか児童相談所がありません。そのうち4相談所は人口百万人を超える広さの地域を管轄しています。これでは子どもたちのSOSをしっかりと受け止め、きめ細やかな対応をすることができません。
そのような中で、中核市である船橋市と柏市が児童相談所の設置を目指しています。しかし、予算や職員の確保など課題が山積しています。そこで、両市のチャレンジを後押しするために、6月7日、私と宮川議員は総務省並びに厚生労働省に対して以下の5項目の要望書を提出します。
① 中核市に児童相談所をつくることができるように国が十分な支援をすること。
② 特に、一時保護所整備に係る国庫補助金が実態と乖離し、過少であるため、
整備費の実態に見合った支援措置となるよう見直すこと。
③ 児童相談所(事務所分)の整備に係る交付税措置についても、整備費に対し過少で
あることから、実態に見合った算定方法の見直しや国庫補助金等による適切な支援措置を
講じること。
④ 経験のある児童福祉司が配置できるようにすること。
⑤ 児童福祉司や児童心理司がしっかりと子どもに向き合える職場環境を整えること。
要は、国による財政支援と人的支援を求める要望です。社会保障給付の大半は高齢者向けであり、子どもへの支出は極めて小さい現状を変えていかねばなりません。
子どもが生まれた時に巨額の政府債務を背負わされる状況を、ドキリとする言葉ですが財政学では「財政的幼児虐待」と呼びます。命名者はボストン大学のユトリコフ教授です。世界一の大借金国家である日本で生まれた赤ちゃんの「オギャー」という泣き声は、「借金なんてイヤだよー」と聞こえてきそうです。
野放図に将来世代に借金を押し付ける「未来を搾取する国」から、子育て支援や児童相談所の設置促進など「未来に投資する国」へ、大きく転換しなければなりません。