詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1161 『消費税の呪縛』

2018/12/25

  ちょうど30年前のクリスマスイブの日、昭和63年12月24日、福祉の充実などを目的とした日本初の大型間接税「消費税法案」が成立しました。税率は3%でした。翌年の平成元年4月、消費税が実施されました。当時は、竹下登内閣でした。同年7月、自民党は参院選で敗北します。


  平成6年2月、細川護熙連立内閣の下で、消費税を「国民福祉税」に衣替えして税率を7%に引き上げる構想が浮上しました。しかし、7党1会派からなる連立与党内の意見が整わず、直ちに白紙撤回されました。


  同年11月、自民・社会・さきがけが連立した村山富市内閣の下で、消費税率を5%に引き上げる法案が成立しました。翌年7月の参院選で、社会党は改選議席を大幅に減らします。


  平成9年4月、橋本龍太郎内閣の時に、税率5%への引き上げが実施されます。翌年7月の参院選で自民党の改選議席は大幅減、橋本内閣は総辞職しました。


  昭和の時代にさかのぼっても、大平正芳内閣の「一般消費税」導入の失敗、中曽根康弘内閣の「売上税法案」の廃案など、大型間接税導入は頓挫の繰り返しでした。平成に入っても、消費税導入や税率の引き上げは、その後の選挙結果に大きな影響を与え、時には政権が倒れることもありました。


  平成24年8月、野田内閣はこの消費税の呪縛を解くべく、「社会保障と税の一体改革」関連法を民主・自民・公明の3党合意の下で成立させました。同年12月の総選挙で民主党は敗れましたが、「次の選挙」よりも「次の世代」をという精神は、安倍政権にも引き継いでほしいと願っていました。


  平成26年4月、安倍内閣は税率8%への引き上げを実施しました。橋本内閣以来17年ぶりの引き上げでした。しかし、10%への引き上げは2度にわたり先延ばしし、しかも選挙の争点とするようになってしまいました。


  一般論でいえば、消費税の引き上げは景気回復期間中に実施すべきであり、景気後退局面に入っては不可能になります。その意味では、本来ならばこれ以上の先延ばしは許されない状況です。


  消費税を政争の具とし、待ったなしの危機に自らを追い込んだことによる焦りが、来年度予算案に如実に反映されています。平成31年度予算案は史上初めて100兆円の大台を突破することになりました。この総額自体が財政規律がゆるんでいる証左です。


  加えて、キャッシュレス決済等のポイント還元制度やプレミアム付き商品券など、消費増税対策に約2兆円も計上しています。効果のないバラマキは厳しく精査しなければなりません。


  平成の政治史を振り返る1つの切り口は、消費税のトラウマとの戦いだったと思います。新元号でむかえる新しい時代も、同じ命題に立ち向かわなければなりません。


  

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