かわら版 No.1127 『日銀総裁と一問一答』
2018/04/093日の衆院財務金融委員会において、今国会10回めの質疑に立ちました。黒田東彦日本銀行総裁を参考人として招致し、異次元金融緩和の副作用や緩和政策をいつどのように終わらせるか(いわゆる出口論)について、1時間にわたる一問一答は次のようなものでした。
○まずは5年間続けてきた金融緩和をどう総括するか。
「経済全体は改善したが、2%の物価安定目標を早期に実現することは達成されていない。」
○上場投資信託(ETF)購入は、株式市場の価格形成に深刻な歪みを生じさせていないか。
「現状、大きな問題は生じていない。御指摘の点は十分頭に入れ、適切に購入する。」
○国債は満期が来れば手放すこともあるが、ETFはどのような時に売却するのか。
「重要なポイントであるが出口の議論と同じく、具体的な検討をする時点ではない。」
○超低金利政策は民間金融機関の収益を圧迫しているのではないか。
「現時点では大きな問題は生じていないが、累積的影響が出るおそれがあるので注視していく。」
○認識のずれがある。中小・零細企業との取引を巡り、地域金融機関の競争が激化している。
「貸出市場での競争激化は構造問題だが、低金利環境が更に拍車をかけているのは事実だ。」
○大量の国債買い入れや長短金利操作は、政府の財政規律を大幅に緩めていないか。
「金融緩和は物価安定のための政策であり、財政については政府、国会の責任だ。」
○ならば、政府の財政健全化に向けての取組をどのように評価しているか。
「プライマリーバランス(PB)は大きく改善。着実に取組を推進してきたと思う。」
○遠慮が過ぎないか。PB黒字化目標は先送りにされた。財政についてもっと明快に主張せよ。
「2013年1月の政府・日銀の共同声明は現在も有効であり、これに沿っていく。」
○景気後退リスクから一段の緩和を迫られ、出口の検討は先送りされるのではないか。
「出口に差しかかるずっと前に、出口の具体的な方法やテンポを言うのは難しい。」
○今秋の自民党総裁選、来年の参院選や消費税増税は出口論を封じるリスクにならないか。
「出口の議論が必要となったときに、政治情勢によって乱されることはない。自ら判断する。」
○出口については検討していないと口を閉ざすが、もっと丁寧な市場との対話を。
「まさに出口に立ち至った時に具体的に方向性を示すということにならざるを得ない。」
○市場との対話を改善しないと日銀への信認を損なうのではないか。
「適切なタイミングで、市場に与える影響も考慮しながら説明していく。」
○緩和派ばかりの金融政策決定会合は出口を論ずるには偏った構成になっていないか。
「メンバーについてコメントすることは差し控えたい。活発に議論している。」
○政府との一体化が強まり過ぎ、中央銀行としての独立性が問われていないか。
「物価の安定と金融システムの安定という2つの使命をしっかり果たしていく。」
○2%目標が政策を硬直化させている。木を見て森を見ずにならぬよう柔軟に。
(以上、○印:野田発言、回答はすべて黒田日銀総裁。)