詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1121 『働く人、納税者のために』

2018/03/05

  安倍総理は今国会を「働き方改革国会」と掲げ、働き方改革関連法案を最重要法案と位置づけていました。しかし、その関連法案から裁量労働制の拡大を削除すると表明しました。


  裁量労働制は、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決めた時間を働いたとみなし、残業代込みの賃金を支払う制度です。この制度の拡大は、経済界が強く求めていました。要は、「働かせ方」改革です。


  まだ法案提出前でしたが、国会審議の中で野党の調査・追及により厚労省の「労働時間等総合実態調査」がデタラメであったことが明らかになりました。異常値だらけの不適切なデータをもとに、総理は裁量労働制で働く人の労働時間について「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁したこともありました。が、次々と不適切なデータが発覚し、ついに答弁撤回と再調査に追い込まれました。


  きちんと実態を把握した上で、建設的な論争を行うべきです。全く信用できないデータでは、審議の土台が崩れてしまいます。裁量労働制の拡大を関連法から削るのは、極めて当然です。


  でも、それだけで済む話ではありません。民間においても最近、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レと品質データの不正が発覚しましたが、それぞれ然るべき人が責任を取ったり、処分されたりしています。


  民間に比べると政府の対応はまだ甘過ぎます。反省が足りません。働き方は暮らしや健康に関わるにとどまらず、過労死が深刻な問題になっているように人の生死にも関わるテーマです。働く人の立場に立ち、政府に猛省を促さなければなりません。


  確定申告の時期でもありますので、納税者の立場に立って政府を質すことも重要です。私はその主戦場である衆院財務金融委員会において、先週は3回も質問に立ちました。サラリーマン増税といえる「所得税法等の一部を改正する法律案」、出国するたびに千円徴収される筋悪の「国際観光旅客税法案」の問題点を厳しく指摘しました。


  少数会派なので代役はいません。1人でカーリングしているみたいにフル稼働です。「そだねー」と声を掛け合うチームメイトもいません。2月28日の平成30年度予算案の採決のあった日は、12時40分から17時50分まで財金委の審議、そして18時から23時過ぎまで本会議に臨みました。もぐもぐタイムもとれませんでした。


  安倍総理とも昨年の2月の予算委以来、久し振りに一問一答形式で論戦を交わしました。私は、次の選挙よりも次の世代を考えて消費税を政争の具にしないことが、かつて民主、自民、公明で取り決めた3党合意だったと指摘しました。そして、14、17両年の衆院選で消費増税の延期や使途変更を争点にした安倍総理の姿勢に詰め寄りました。


  総理は「政争の具にしたことはないが、選挙の争点にはした」と答弁。私は「選挙こそ最大の政争だ」と切り返しました。総理はデータのみならず、約束事にも無頓着な人だとつくづく思いました。残念です。

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