かわら版 No.1111 『大臣所信を質す』
2017/12/06衆議院の解散による衆議院議員総選挙後30日以内に、国会を召集しなければならないと憲法は定めています。この規定に基づき第195特別国会が開催されました。内閣総理大臣の指名を第1の目的とする特別国会は、会期の冒頭に首班指名選挙を行い、その他の法案審議などは行われないのが通例です。
ところが、今国会は11月1日から12月9日まで39日間、異例の長い会期で開かれました。総選挙の直後、安倍総理は「謙虚」で「丁寧な説明」を強調していましたので、臨時国会を冒頭で解散した穴埋めとして、特別国会では実質審議の時間をしっかりと確保するのかと思っていました。
残念ながら、会期39日間は偽装でした。総理の外交日程や与野党の質問時間割合の調整などにより、国会は開店休業状態が続きました。
私が所属することになった衆院財務金融委員会の所掌は、財政、税制、関税、外国為替、国有財産、たばこ事業及び塩事業、印刷事業、造幣事業、金融、証券取引に関する事項です。審議すべき重要課題が盛りだくさんです。しかし、この委員会の実質審議もごく僅かでした。
11月29日、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣の所信が表明されました。これを受けて12月1日に4時間40分の質疑が行われ、このうち30分間が無所属の会の私に割り当てられました。09年から11年にかけては答弁側にいましたが、それ以来の財金委における発言となりました。
まずは、森友学園への国有地売却問題について、大臣所信で一言も触れなかったことを厳しく質しました。森友疑惑は近畿財務局という一地方出先機関や理財局という一部局にとどまらず、財務省の信用にかかわる問題です。時間があれば丁寧に答弁する旨の大臣の回答でしたが、深い反省と今後にむけた決意を簡潔に所信で語るべきでした。
次に私が総理時代に民主、自民、公明3党間で取り決められた、社会保障と税の一体改革に関する合意(3党合意)の魂、精神は現時点で生きているかと問いました。大臣は3党合意は後世で高く評価されてしかるべきと位置づけた上で、社会保障の充実と財政健全化を着実に進めるという方向性は、現状においても変わっていないとの認識でした。
私は、2014年の総選挙で安倍総理が消費税引き上げの先送りを争点にしたことは、消費税を政争の具にしないという3党合意の精神を風前の灯火にしたと、そして、今般の総選挙で消費税の使途変更を唐突に争点化したことは灯を消したと強く指摘しました。
最後に、安倍総理の任期の間に財政再建目標の達成が困難になった理由は何かと迫り、後世に宿題を残す政権運営は猛省すべきだと批判しました。