かわら版 No.1108 『質問時間配分』
2017/11/20国会における与野党の質問時間の配分が議論になっています。各党の配分割合については、各委員会でその都度、理事会の協議により決めていますが、近年は与党2対野党8とするのが慣例となっていました。
ところが、衆院選で圧勝した自民党から、野党優先に配分されている国会の質問時間を、議席に応じて与党により多く配分すべきだという提案が飛び出しました。一見、もっともな主張のように思えるかもしれませんが、実はかなり筋の悪い話です。
政府が国会に提出する法案は、先に与党内で審査され、その際に政府に対して十分に質問することが可能です。官邸の力が強すぎ党が萎縮し、与党審査が形骸化しているから、こんな見当違いの提案が出てくるのではないでしょうか。
また、立法府として法案を厳しく審議するという点においては、政府と一体である与党よりも、野党の持ち時間が多いほうがチェック機能が強まると考えられます。海外でも国会審議においては野党の役割を重視するのが、国際的な常識となっています。
そこで、注目されたのが先週15日に開催された衆院文部科学委員会でした。学校法人「加計学園」の獣医学部が14日に認可されましたが、この問題をめぐる審議の質問時間が焦点となっていました。自民党は与党5対野党5の配分を主張し、立憲民主党などの野党は従来通り与党2対野党8を主張し、議論は平行線をたどっていました。が、最終的に与党1対野党2の配分で妥協し、審議入りしました。
案の定、自民党の質問者・義家前文科副大臣は官邸を忖度したのか、前川前文科次官の批判に終始しただけでした。やはり、与党の質問時間をふやしても「おべんちゃら」ばかりとなり、審議は緊張感に欠けるようになるでしょう。特に、森友・加計などの疑惑は「もり」「かけ」の蕎麦のように、うどん粉とそば粉の割合を2対8とする二八蕎麦のような配分が望ましいと思います。
元々は旧民主党政権のとき、当時野党だった自民党の強い要求もあり、2対8の割合が定まったのでした。例えば、野田内閣の時の衆院「社会保障と税の一体改革特別委員会」における総質疑時間は104時間44分でした。そのうち与党の質疑時間は19時間59分(19.1%)、野党の質疑時間は84時間45分(80.9%)でした。
衆院選の後、安倍総理は「謙虚に」「丁寧に」を繰り返していましたが、その言葉とはうらはらに強引な国会運営を進めようとしています。早々とおごりが見えてきました。
今月下旬には衆参両院の予算委員会開催が想定されています。論戦の舞台となる土俵をどうつくるかという与野党の攻防がまだ続きます。