かわら版 No.1102 『冒頭解散』
2017/09/23「加計学園」問題などの真相解明を求め、民進党をはじめとする野党が憲法第53条に基づいて、臨時国会の召集を求めたのは6月22日でした。しかし、安倍政権は約3か月にわたり拒み続けてきました。
ようやく政府与党は重い腰を上げ、9月28日に臨時国会を召集することになりましたが、安倍総理はこの国会の冒頭で衆議院を解散します。総理は8月3日に内閣改造を行い、「人づくり革命」や「働き方改革」などを行う「仕事師内閣」だと胸を張っていたはずです。が、何も「仕事しない内閣」として、国民に信を問うことになりました。
しかも、所信表明演説をすることもなく、各党の代表質問も実施されません。国会の本格論戦を経ない新内閣による解散は、戦後初めてだそうです。国会軽視どころか国会を無視しています。政府与党による審議拒否は議会制民主主義の危機だといえるでしょう。
さすがに、自民党関係者からも批判の声が上がっています。山崎拓元自民党副総裁は、「もし、解散総選挙があるとしたら、(北朝鮮への対応や規制緩和改革などを推進するなどという)大義名分をつけるのかもしれないが、来年9月に任期が切れる安倍総理個人のためにほかならない」と、喝破しています。
河野洋平元衆院議長は、「野党から要求されている問題の説明もしなければ、懸念を払拭する努力もしない。国民に一度も丁寧な説明もせず冒頭解散は理解できない」と語り、「権力者側が自分の都合の良いときに、自分の都合で解散するのは果たして良いものか」と、苦言を呈しています。
私は、2つのことがとても心配です。まずは、北朝鮮がミサイル発射や核実験を続けている緊迫した情勢の中で、果たして約1か月も政治空白をつくってしまって大丈夫なのでしょうか。北による危機は、核戦争、政治的混乱、大量の難民など不測の事態を引き起こしかねません。総理をはじめ関係閣僚や政務3役が選挙に奔走しなければならない状況で、万全な緊急時対応ができるとはとても思えません。
次は、安倍総理が2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標を安易に先送りしようとしていることです。誰もがわかっていながら手をつけてこなかった「税と社会保障の一体改革」に、かつて私は挑みました。しかし、残念ながら今は真逆の人気取り政治に陥っています。
日本は世界一のスピードで少子高齢化が進んでいます。元気に働いて国の税収を担える若い人口よりも、その税金を使う高齢者人口のほうがどんどん増えています。財政規律をゆるめ、子や孫の世代にツケを後回しするような政策は「愚の愚」なのです。
大義なき解散だとつくづく思います。でも、堂々と受けて立つ決意です。都議選直後は殊勝だった総理も、喉元過ぎれば熱さを忘れたのでしょう。安倍一強政治に鉄槌を下すために戦います。