かわら版 No.1091 『ゼロ回答』
2017/07/03稲田朋美防衛大臣が東京都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と、常軌を逸したとんでもない発言をしました。
自衛隊法は61条で、自衛隊員が選挙権の行使以外に政治的行為をすることを禁じています。大臣自ら隊員に対し、法律違反となる行為を呼びかけたと解するしかありません。
また、稲田氏は「防衛大臣」とも言っており、公務員が地位を利用して特定の候補者を応援することを禁じた公職選挙法違反の疑いもあります。「法をつくる者は法を犯すべからず」です。稲田氏は大臣失格です。
そもそも、自衛隊は国家の平和安全と国民の生命財産を守るための組織です。自民党のための組織ではありません。ましてや、稲田氏の私物でもありません。
南スーダンPKО部隊の日報をめぐる迷走、森友学園の顧問弁護士だったことをゴマかした虚偽答弁など、稲田氏が大臣の資質に欠けることは既に明らかでした。しかし、お友達優遇人事の安倍総理は、彼女をかばい続けてきました。今回も私たちの稲田大臣罷免要求に対し、続投させるというゼロ回答でした。
任命権者であり自衛隊の最高指揮官である安倍総理の責任も厳しく追及しなければなりません。
「加計学園」を巡る疑惑も益々深まってきました。先週は、自民党の下村博文幹事長代行(元文科大臣)が同学園から「闇献金200万円」を受け取っていたとする報道がありました。政治資金規正法違反という疑いについては本人は否定していますが、両者の関係が極めて親密であることは明白です。
総理のご意向で「加計ありき」で獣医学部の新設が決まったのは、総理の側近である下村議員が下地を作り、それをこれまた総理の側近である萩生田官房副長官が実現したという構図が浮かんできます。まさに三位一体で「お友達優遇政治」を進め、行政を歪めていたのではないかと考えますが、これも「下衆(げす)の勘ぐり」でしょうか。
疑いが増すばかりですが、総理は全く説明責任を果たそうとしません。疚(やま)しいところがなければ、逃げ隠れせず国会で堂々と答弁すれば済むはずです。しかし、私たちの国会開催要求についても依然としてゼロ回答です。
7月は霞が関の人事異動の季節です。そして、幹部人事を一元管理する内閣人事局長は、疑惑の渦中にある萩生田官房副長官です。真実を言おうとした人が報復人事を受ける可能性があります。そして、官邸にこびる忖度人間が好遇されるかもしれません。少なくとも萩生田副長官は、疑惑を払拭する説明責任を果たさない限り、夏の人事を行うべきではありません。