かわら版 No.1088 『皇室典範特例法』
2017/06/096月9日、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立しました。民進党は、賛成しました。
私たちは昨年8月8日の天皇陛下のおことばが、「国民の理解を得られることを、切に願っています」と締めくくられていることを、極めて重く受け止めることを議論の起点としました。そして、他党に先駆けて、昨年12月に、「皇位継承等に関する論点整理」を発表しました。
国民的検討にむけた論点として、①天皇の退位を認めるべき、②皇室典範改正による恒久的制度とすべきことを挙げました。具体的には皇室典範第4条を改正して、「天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基き、皇室会議の議により、退位することができる」旨の規定を新設すべきとしました。
こうした自らの意見をしっかり主張する一方、国民を代表する立法府における総意形成に向けても主導的な役割を果たしました。
ともすれば、政府が設置した「有識者会議」による偏った、密室の議論だけで大勢が決してしまうおそれもありました。
しかし、衆参正副議長のもとに、各党・各会派が参加する全体会議が開催され、党派を超えて共通の理解が醸成され、民進党の主張もできる限り反映する形で、立法府によるとりまとめが行われました。
日本国憲法が「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と定めていることにふさわしく、立法府の総意がまとめられ、これを受けて政府が提出した法案が成立したことは大きな意義があり、憲政史上に残る成果となったと受け止めています。
国会審議においては、「将来の先例となり得ること」「遅滞なく法律を施行すること」など私たちが指摘した主要な論点について、政府より確認答弁を得ることができました。また、附帯決議に「女性宮家の創設等」という文言が入ったのは、私たちの強い要請と粘り強い交渉の成果だと自負しています。
この法律によって、天皇陛下の退位、皇嗣の即位が実現することになりますが、皇位の安定的継承をはじめ、皇室・皇位に関わる現実に差し迫った重要な課題についても、引き続き向き合っていかなければなりません。
皇位は男系で継承されてきた歴史的経緯を踏まえつつ、他方で、高齢化や女性皇族のご結婚に伴う皇籍離脱により、天皇陛下及び特定の皇族方にご公務が集中し、皇室のご活動の維持や皇位継承資格者の確保に困難が生じることへの対応が速やかに検討されなければなりません。
民進党は、女性皇族がご結婚後も皇族の身分を保持し、当該女性皇族を当主とする宮家の創設が可能となるよう皇室典範を改正すべきだと考えています。両陛下、皇族方のお気持をくみ取りながら、しっかり国家の基本に関わる象徴天皇制を支えるため、引き続き努力を傾注していく決意です。