かわら版 No.1073 『国家経営の要諦』
2017/02/06私は、日本という国の国家経営の要諦は、3つあると思っています。第1は、霞が関の官僚機構とは適度な緊張感を保ちつつ、その総力を結集して様々な課題に立ち向かうことです。第2は、日米同盟をわが国の外交・安保戦略の基軸に据え、その関係を深化させることです。第3は、天皇、皇后両陛下の国民に寄り添うご活動が日本国民を統合していることを強く認識し、皇室を大切にすることです。これらの要諦に関わることが、奇しくも今国会の大きな焦点になってきました。
まずは、霞が関との関係です。
文部科学省による天下りを組織的にあっせんしていた事案は、長期化しつつある安倍政権の下で、官僚機構の緩みが生じてきたからでしょう。隠ぺい工作や口裏合わせまで明らかになっており、悪質極まりません。
当初政府は国会開会日に事務次官を辞任させ、「トカゲのしっぽ切り」で事態を収拾しようとしました。が、私たちが粘り強く要求した結果、ようやく7日、衆院予算委で天下りの集中審議を実現することができました。今後も全容解明に努めるとともに文科省以外の全省庁の調査も進め、天下り根絶にむけて実効性のある再発防止策を講じていかなければなりません。
次は、日米関係です。
トランプ大統領が立て続けに発する大統領令が大きな波紋を呼んでいます。特に中東・アフリカなどの国民の査証発給を取りやめ入国を禁止する大統領令は、各地で搭乗拒否が出たり、EU各国の首脳が批判するなど、国際社会に深刻な影響を与えています。しかし、わが国の総理だけは「ノーコメント」です。あまりにも遠慮し過ぎではないでしょうか。
トランプ大統領は、日本の貿易政策や金融政策についても、事実誤認に基づく批判を繰り返しています。しかし、政府は適時適確に反論していません。
安倍総理は週末に訪米し、首脳外交を行う予定です。米国が寛容さを失い様々な「壁」を築こうとしていることは、人類の進歩の妨げになるとしっかり主張すべきです。日米関係が重要なことは論を待ちませんが、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を踏まえ、安倍総理には「言うべきことは言う」という姿勢を貫いてほしいものです。帰国後には、国会で厳しくチェックしなければなりません。
最後は、天皇陛下の退位に関してです。
民進党としては、高齢時代における皇位継承のあり方を検討した結果、今上陛下に限って退位を認める特例法よりも、今後のすべての天皇に退位を認める皇室典範改正による恒久制度が望ましいと考えています。また、安定的な皇位継承の観点から、「女性宮家の創設」なども引き続き検討すべだという立場です。
衆参両院の正副議長が各党の意見を聴取することになっていますが、今月中にはその場が設定されるでしょう。わが党の意見を明確に主張するとともに、各党の意見にも真摯に耳を傾けたいと思います。