かわら版 No.1008 『安保法案は廃案に‼』
2015/09/14民主党は、何でも反対の抵抗野党ではありません。今国会で成立した89本の法律や条約のうち、70本は我が党も賛成しています(9月11日現在)。安全保障政策についても、これまで一貫して現実的かつ責任ある対応をしてきました。
02年4月、当時の小泉内閣は他国による侵略や大規模テロなどに備え、自衛隊の行動や国民の保護などを定めた「有事関連3法案」を国会に提出しました。しかし、無理に強行採決せず、この年の法案成立を先送りし国民的合意をめざしました。翌年4月、民主党は対案を提出し与野党で真摯に修正協議を行い、6月に3法案は民主も賛成して成立しました。その時の国会対策委員長は、私でした。
今国会でも民主党は、「領域警備法案」を維新の党と共同提出しました。離島など我が国の領土が武装漁民に占拠されるといった、いわゆる「グレーゾーン事態」は最も起こりうる可能性が高く、その対応は焦眉の急だからです。が、政府は運用改善で取り繕うだけで、法律の手当てをする気が全くありません。
一方、安倍内閣は「安全保障関連法案」については、強行採決も辞さずという構えです。この法案は専守防衛に徹してきた原則を大きく変更し、日本が武力攻撃を受けていない場合(我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生)でも、自衛隊が海外で武力行使できるようにするものです。本来ならば、国民の過半数の賛成を得て憲法改正するのが筋ですが、憲法の解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めようとしています。
安倍内閣がその解釈改憲の根拠としている昭和47年政府見解や砂川事件判決を読みましたが、いずれも集団的自衛権が視野に入っているとは到底思えません。いかに眼光紙背に徹して読んでも読み切れません。政府による恣意的な読み替えを安易に許すようでは、もはや法治国家ではありません。
大多数の憲法学者、歴代内閣法制局長官経験者、元最高裁長官などが、声を揃えて安保関連法案を違憲またはその疑いが強いと断ずるのは当然でしょう。「彼らは字面に拘泥して、現実がわかっていない」と、政府・与党の中から批判の声が聞こえます。しかし、専門家が法文の字面に拘るのは当たり前です。しっかりと法理を踏まえて現実に対応することこそ、政治家や官僚の責務です。
日本を取り巻く安全保障環境が、近年大きく変わりつつあるとの認識は私も共有しています。ですから、個別的自衛権の範囲でどこまで対応できるかは大いに議論すべきです。その枠内ではどうしても限界があるとするならば、堂々と憲法改正の議論に進むのが順序でしょう。憲法改正に匹敵するような憲法解釈の変更を、一内閣が独断で国民の理解もなく強行することは、大きな間違いです。
安保関連法案の審議のヤマ場は、今週です。民主党は廃案をめざして全力で戦います。