詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1007 『チャイナ・ショック』

2015/09/07

  世界中で株価の乱高下が続いています。震源地は世界第2位の経済大国・中国。その中国も主要メンバーであるG20の財務相・中央銀行総裁会議が、4~5日にトルコで開催されました。


  私も09年のスコットランドのセントアンドリュース、10年の韓国・慶州における同会議に出席したことがあります。主要先進国が集まるG7よりも、中国、インド、ブラジル等の新興国も参加するG20という枠組みのほうが、世界経済を議論するには適していると思います(少し参加国が多過ぎですが)。


  ただし、何かを決めたり、共同文書をまとめるには時間がかかりました。各国の利害調整に手間がかかるのはもちろんですが、いつも最後まで中国の態度が未定だったからです。それは中国の財務相も中央銀行総裁も中国共産党内の序列が低く、その場で決断できずに本国にお伺いをたてることの繰り返しだったからです。当時の中国経済の司令塔は、王岐山副首相でした。


  今回のトルコにおけるG20では、中国経済が主要議題になりましたが、果たして中国当局がきちんと現状と方向性について説明をしたのか、それを踏まえて各国はどのような危機対応を行うべきか、麻生財務大臣にしっかりと国会で説明してほしいと思います。


  また、王岐山が腐敗撲滅の担当となった今、一体誰が経済の司令塔になっているのでしょうか。本来ならば、経済通という前評判が高かった李克強首相のはずですが、最近は影が薄いように感じます。李首相が主導する経済改革路線を「リコノミクス」と称していたはずですが、最近はあまり耳にしません。そういえば、我が国でも「アベノミクス」の進軍ラッパも聞こえなくなってきました。不調になると「~ミクス」は、どの国でも消えてしまうようです。


  チャイナ・ショックは、経済にとどまらず政治リスクとしても要注意だと思います。日本の株式市場の60%以上は外国資本による取引ですが、中国では株主の8割は個人です。借金をしてまで株を買っていた人も多数いるそうですから、今回の暴落で大きな痛手を被った個人投資家の怒りの矛先がいつ政府に向かうかわかりません。


  先月初めには天津の化学工場の大爆発で120人以上の死者が出ました。その後も規模は小さいですが、各地で工場の爆発事故が頻発しています。「世界の工場」に対する懸念が強まっています。天津については様々な流言も飛び交っています。


  大衆の反逆を最も恐れる中国共産党指導部は、事態の沈静化に躍起だと思います。私たちも、中国に変調があるのかないのか冷静かつ緊張感をもって分析しなければなりません。

 

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