かわら版 No.993 『二重行政解消に向けて』
2015/05/25「大阪都構想」の是非を問う住民投票の結果は、賛成約69万票、反対約70万票。僅か1万票差で反対多数となり、都構想は廃案となりました。得票率の差は0.8%。私も平成8年の衆院選で得票率0.1%の差で落選した経験がありますので、特別な感慨をもって開票速報と結果を見守っていました。
僅差とはいえ民意が示された以上、その結果を重く受け止めるのは当然です。一方で、それに拮抗する別の意見が完全に死票にならないように、勝者も敗者も留意しなければなりません。
敗れた橋本徹大阪市長は、政界を引退する意思を表明しました。退路を断ち切って挑んだ住民投票でしたから、その身の処し方は潔いと思います。願わくば、任期が満了する12月まで、都構想以外の方法でできる限り府と市の二重行政解消に努めてほしいものです。
大阪の論戦で浮かび上がった道府県と政令指定都市との二重行政の問題は、全国の各都市にも共通する課題です。
千葉県では、千葉県水道局が京葉・東葛地域の11市(千葉、船橋、市川、習志野、松戸、市原、鎌ヶ谷、浦安、成田、印西、白井)の給水事業を実施しています。その一方で、下水道事業は11市が個別に経営しています。このため、上水道料金は千葉県水道局が、下水道使用料は各市がそれぞれ別々に請求・徴収することとなっていました。が、民主党の網中肇千葉県議会議員(千葉市中央区選出)や熊谷俊人千葉市長の提唱により、上・下水道料金が一括徴収される運びとなりました。
このメリットは、3点に集約されます。
まず第1は、住民サービス向上効果。これは各種手続きにおいて、それぞれ県水道局及び市下水道担当部局への二重の手間を重ねることがなくなり、利便性が向上する効果です。
第2は、徴収率向上効果。水道料金の未納に対しては、水道を止めることによって、支払いを強く促すことができるものの、下水道は使用を差し止めることができないことから、水道と比較して、その徴収率が低くなってしまう傾向があります。そこで、上・下水道料金を一括徴収することによって、下水道の徴収率を高めることが期待できる効果です。試算によると、単年度で約7.5億円のメリットがあるそうです。
第3は、コスト削減効果。印刷物の削減や、11市で別々に稼働している料金徴収システムの維持費の削減など、徴収にかかる事務コストを削減することができる効果です。
県と市の役割分担、県と市の連携を通じて、もっと二重行政は解消できるはずです。先の統一地方選挙で当選させていただいた民主党の県議や市議たちには、この分野においても大いに知恵を絞ってもらおうと思っています。