かわら版 No.985 『富の分配』
2015/02/23JR船橋駅南口の山口横町、新橋のガード下など、私は赤ちょうちん街が大好きです。とりわけ、一升瓶でコップから溢れるほどお酒を注ぎ、受け皿まで満杯にしてくれるようなお店をこよなく愛しています。
安倍総理が掲げるデフレ脱却に向けた経済政策「アベノミクス」は、80年代に英国のサッチャー政権下で促進された、豊かな層がさらに豊かになれば富がしたたり落ちて貧しい層も潤うという「トリクルダウン」理論です。上からコップにお酒を注いでいますが、下の受け皿までしたたり落ちていません。
確かに、大企業や株主は潤っています。日本企業の内部留保残高は約328兆円。名目国内総生産(GDP)の約7割に相当する規模です。しかし、中小企業や働く人々に豊かさはしたたり落ちずにいます。
つまり、安倍政権の経済政策の最大の問題は、成長の果実をいかに分配するかという視点が欠落していることです。世界の先進国が格差拡大という困難な課題に直面していますが、日本の場合も深刻です。
給与所得者の内、年収200万円以下の人は1,120万人で、全体の4分の1を占めています。相対的貧困率は近年急上昇し、今や過去最高の16%にも達しています。特に深刻なのは子どもの貧困であり、ひとり親家庭の子どもの貧困率は実に50%に達し、OECD諸国の中で最低です。不安定雇用が多い非正規労働者は増え続けて2,016万人となり、雇用者全体に占める割合は38%になっています。
経済成長と格差是正を両立させることが急務です。かつて「一億総中流意識」の時代を築いたことがある日本だからこそ、先進国の中でも格差の小さい国を創り上げられると確信しています。そのためには、豊かさはしたたり落ちるとする上から目線の自民党政治に対抗して、中間層がこぼれ落ちないようにするボトムアップ型の民主党が奮起しなければなりません。