詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.973 『師』

2014/11/04

  先月、2人の師匠と相次いでお目にかかれる機会に恵まれました。


  まずは、細川護煕元首相。10月21日、竹芝にあるアトリエをお訪ねしました。陶芸家として広く知られていますが、最近は襖絵の仕事が多いとの由。2年半がかりで薬師寺の襖絵を80枚も描くそうで、その下絵を見せていただきました。東大寺等からも依頼があり、4年先まで仕事が決まっているそうです。計り知れない才能に驚くばかりでした。


  その後、師の行きつけのお店でしみじみと杯を交わしました。静かで穏やかな語らいを通じて、多くのご示唆を頂戴しました。いつも優しく後押ししてくれます。


  忘れられないのは2011年8月、当時の菅直人首相が党内基盤を失い、民主党代表選挙が不可避となり、その候補者として私の名前が取沙汰されるようになりました。その時、久しぶりに師からご連絡がありました。「一緒に座禅を組まないか」と。財務大臣であった私は、超多忙でした。繁忙の中で決断するのではなく、静かに己に向き合えという親心を強く感じました。


  一緒にお訪ねしたのは京都の建仁寺。和尚さんは師の顔をみるなり開口一番「お帰りなさい」。師が頻繁にお寺に来られていることがわかりました。さて、座禅を組んではみたものの無の境地になるどころか、代表選の準備のことばかりが思い浮かび、煩悩だらけの自分にあきれてしまいました。しかし、終日お付き合いいただいた師の優しさが胸に沁みました。


  チビチビと一献傾ける文科系の師が細川元首相なら、グビグビと飲み干す体育会系の師は藤井裕久元財務大臣です。10年前の参院選の時。お互いに別の場所での遊説を終え、ばったりとお会いしたのが高知空港待合室。「出発までまだ時間があるな。一杯やるか」とのお誘い。空港内の食堂でも行くのかと思いきや、その場で鞄の中からワンカップのお酒を2本取り出し、一緒に乾杯。風呂上がりに牛乳を飲み干すような豪快な飲みっぷりに圧倒されました。そして、鞄の中からは次々とワンカップが出てきたのでした。


  以来、私は弟子になりました。政治、歴史、人生を学びました。藤井財務相の時に、副大臣としてお仕えしたことも貴重な経験となりました。私が総理となり、社会保障と税の一体改革に挑んだ折には、党税調会長として献身的にお支えいただきました。


  時折、ふらっと官邸に来られました。「ちょっと顔を見に来ただけだ。元気そうじゃないか。このままブレずにやり抜け」と一言激励すると直ちに帰られました。師は東大野球部の捕手でした。だから、マウンドで窮地に陥ったピッチャーの尻をたたくキャッチャーのような鼓舞でした。いつも絶妙なタイミングでした。


  その師が「政治改革の熱狂と崩壊」という本を角川書店から出版され、10月24日に記念パーティーが開かれました。私はその発起人代表を務めさせていただきました。素晴らしいご著書です。ぜひ、ご高覧を。

 

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