9月2~5日の日程で、初めてモンゴルに行ってきました。中国・ロシアという大国に囲まれた内陸国のモンゴルは、戦略的観点から我が国を「第三の隣国」と位置付け、関係強化を重要な政策課題としています。最近、習近平国家主席、プーチン大統領と中・ロのトップによるモンゴル訪問が相次いでいたので、間髪入れずに日本の存在感を示すという意味ではいいタイミングでした。
アルタンホヤグ首相、ボルド外相といった政府要人との会談では、「中国もロシアも来年は戦勝70周年記念のイベントを開く際に、貴国も巻き込もうとすると思うが、日・モンゴル関係は未来志向でいきましょう」と、釘を刺しておきました。また、北朝鮮とも友好関係にある同国が、日朝政府間協議の開催場所を提供するなど、拉致問題の解決をめざす日本を一貫してサポートしてくれていることに謝意を示しておきました。
今回の訪問で最も意義があったのは、バトボルド前首相と旧交を温めることができたことです。
2012年3月11日、東日本大震災1周年の式典が開催されました。この記念式典に出席してくれた世界で唯一の首脳が、バトボルド・モンゴル首相(当時)でした。この恩を私は生涯忘れないでしょう。この日行われた日・モンゴル首脳会議において、経済連携協定(EPA)の交渉開始を決定しました。モンゴルにとっては最初のEPAを、日本と締結することを希望していたのでした。
同年8月、バトボルド氏率いる人民党は選挙で敗れ、同氏は首相の座を降りました。同じく12月、日本でも政権が交代し、私も下野しました。
しかし、私たちの間で交渉開始した日・モンゴルEPAは、本年7月、大筋合意に到りました。この協定の締結により、資源・エネルギー分野等における投資環境の改善や両国の更なる貿易・投資の拡大を通じて、両国関係の一層の強化に貢献することが期待されます。
バトボルド前首相とは、馬乳酒やウォッカの杯を重ねながら、楽しく夕食を共にしました。2人で蒔いた種がようやく実を結びつつあることに、達成感と満足感を共有することができました。そして、共に前首相で、現役の国会議員であるという同じ境遇であることも、同志性を深めたように思います。今後も両国の関係強化に力を尽くしていこうと、お互いに固く誓い合いました。