詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.920 『訪米』

2013/09/24

  私は、知る人ぞ知る熱狂的なプロレスファンです。親父の膝の上にちょこんと座りながら、白黒テレビで放映されるプロレス中継を食い入るように観ていました。子供の頃からの筋金入りのファンです。


  総理を辞めた後、メディアにおける露出は極力控えてきましたが、週刊プロレス創刊30周年記念特集で、次世代エースのKENTA選手と対談してほしいとの要請があり、思わず引き受けてしまいました。そして、文芸春秋に論文を発表した時よりも、はるかに大きな反響があったことには率直に言って驚きました。まさに「じぇじぇー」です。その雑誌の対談の中で、場違いであることは承知の上で、私や私の先輩世代の対米観の源流について語りました。


  私がまだ幼かった頃、力道山の雄姿を放映するプロレス中継は隔週金曜日の放送でした。プロレス中継のない金曜日には米ウォルト・ディズニーの番組が放映されていました。一方で、悪逆非道の限りを尽くす米国人レスラーの攻撃に力道山が耐えに耐え、最後は空手チョップで打ちのめす姿に日本中が溜飲を下げました。いま話題の「半沢直樹」の倍返しに喝采する国民感情に通じるものがあります。他方で、まばゆいばかりの米国の豊かさや、アメリカン・ドリームを体現するかのような「夢々しい」ディズニーの世界を交互に見せられたのでした。米国に対する「コノヤロー」という気持ちと憧憬が入り交じった「アンビバレント」(相反する)な感情は、昭和30年代に形成されたような気がします。


  その後、プロレス界は変わりました。日本人は善玉、米国人は悪役といった単純な図式の試合はありません。日本人、外人の別なくそれぞれの個性を重視しています。残念ながら、政界は遅れています。TPPは米国の陰謀だとか、反米ナショナリズムを背景とした極端な憲法論とか、時代錯誤も甚だしい極論も散見されます。


  私は、日米同盟はわが国の外交・安全保障政策の基軸であると言い続けてきました。その信念は、東日本大震災時における米国のトモダチ作戦などにより、揺るぎない確信となりました。やはり、日米は息の合ったタッグチームをめざすべきなのです。


  9月末から10月初めにかけて訪米し、ワシントンとニューヨークで講演する予定です。総理在任中は5回訪米していますが、野党になってからは初めてです。現政権の批判をしに行くつもりはありません。私が発出したいメッセージは2つ。ひとつは「政権交代に関わらず、重要課題には党派を超えてしっかり取り組んでいく」ということ。もうひとつは「日本は決して右傾化していない」ということです。

 

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