詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.901 『家業』

2013/04/01

  約3年間の建て替え工事を経て、4月から新しい歌舞伎座のこけら落としの幕が上がります。3月27日には開場式が開かれ、私もご招待いただきました。


  松本幸四郎さん、尾上菊五郎さん、中村梅玉さんによる祝儀舞踊「寿式三番叟(ことぶきしきさんばんそう)」が披露された後、当代の歌舞伎役者が勢揃いし、手締めなどが行われました。約1800人の招待客の中には、小泉純一郎、福田康夫といった歴代総理、石原伸晃環境相などの閣僚、各政党代表等の政治家も含まれていました。


  新しい劇場内に「高麗屋!」「音羽屋!」と屋号のかけ声が飛び交う中で、私は不思議な思いにかられながら周辺の自民党世襲議員の顔を見ていました。約400年の歴史を有する歌舞伎は、日本の誇るべき伝統文化です。その担い手は、幼い頃から厳しい稽古に励み、芸を磨きます。○○家という家業として引き継いでいく意義は、そこにあります。


  しかし、国会議員の世襲には、どのような意義があるのでしょうか。安倍内閣の閣僚の大半が、総理も含めて盤石の地盤をもつ世襲議員です。国会の中を2世、3世が闊歩しているような国は、日本以外にはないでしょう。米国ではケネディ家やブッシュ家は例外中の例外。世襲は極めて稀です。英国も然り。チャーチルやサッチャーの子弟が後を継いだという類の話は聞いたことがありません。


  私は、国会議員の世襲を許容する政治風土・文化が、政治改革の阻害要因であると思っています。長年にわたり営々と築いてきた地盤や後援会組織を削ったり変更することになる定数削減や選挙区割の是正は、家業政治家にとっては死活的問題です。総じて、自民党が政治改革に後ろ向きなのは、そのためです。


  折しも、一票の格差をめぐる高裁判決が出揃い、立法府の怠慢を厳しく指弾する司法判断が続きました。解散を判断した当事者として、そして、いまなお国会に身を置く立場として、その責任を痛感しています。早急に是正されなければなりません。


  3月28日、0増5減に基づく区割の線引きを進めてきた衆院選挙区画定審議会が、新たな区割りを安倍総理に勧告しました。一票が全国一軽い千葉4区が分断されることは、残念ですが止むを得ません。県議以来、長い間お育ていただいてきた船橋の一部地域が選挙区から切り離されます。ご支援いただいてきた皆様の顔が、次々と思い浮かんできます。とても切ない気持ちです。でも、厳粛に受け止めざるをえません。


  ただし、0増5減では、すぐにまた違憲と指摘される可能性があります。更なる抜本的な見直しが急務です。また、昨年11月の党首討論で安倍総理と約束した定数削減も、まだ実現していません。今国会中に結論を出すことになっていたはずですが…。

 

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