詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1388 『令和5年度補正予算』

2023/12/11

  10月20日から始まった臨時国会は今月13日で閉会です。最重要議案の令和5年度補正予算は賛成多数で成立しました。私の所属する立憲民主党は反対しました。緊急の災害対策などを盛り込んだ補正予算などに野党が賛成することもありますが、今回は断じて反対せざるをえませんでした。


  まずは、約13兆円もの予算規模に膨らんだことに疑問を感じます。来夏に実施予定の所得税の定額減税も含めると、17兆円超もの経済対策になります。コロナ禍における非常時型対応から平時型に戻さなければならない時に、規模ありきの水ぶくれとなっています。


  そのうち物価高対策は2兆7千億円。一方で公共事業の予算は4兆3千億円。明らかに緊要性を欠くものや本予算で組むべき内容も散見されます。需要不足の時に公共事業をふやすことは有効な政策です。でも、需給のバランスがとれている時の公共事業追加は、物価を引き上げることになります。物価を上げたいのか下げたいのかチンプンカンプンです。


  財源の7割近くに当たる約8兆9千億円は国債を追加発行して賄うことになっています。総理は来年実施する所得税・住民税の4兆円減税も「過去2年間の税収増を国民に還元する」と説明していましたが、鈴木財務大臣が「過去の税収増は既に使ってしまった」と答弁しています。すなわち、減税の原資は赤字国債になります。還元どころか出血大セールです。出血するのは総理ではなく国民です。


  立憲民主党は11月10日、物価高を克服するための緊急経済対策を発表しました。家計・事業者に直接届く支援や子ども・子育てや実質賃金上昇を支える政策の緊急実施など、バラマキではなく的を絞った提言です。財源を明示し、将来世代の負担増に繋がる赤字国債は縮減することにしています。


  補正予算にはその他にも様々な問題点があります。緊要性があるとはとても思えない基金の創設や積み増しに4.3兆円も投入することになっています。コロナ禍が収束しているのにもかかわらず、使途が定まっていない予備費が依然として高い水準で計上されています。これらは政府の使い勝手のいい「つかみ金」になりがちであり、財政民主主義に反します。


  ガソリン代や電気代・ガス代の負担軽減措置を来年4月末まで延長するため、約8千億円が充てられます。すでにガソリン補助には約6兆円(国民1人当たり5万円)も投じられていますが、恩恵に浴している実感が湧きません。この補助金は石油元売り会社に流される仕組みですが、寡占状態のガソリン市場で価格抑制に直結していないのでは…。石油大手2社の足元の決算では、数千億円の営業利益をあげています。


  問題点がてんこ盛りの予算ですが、日本維新の会は大阪・関西万博の追加負担(760億円)が計上されているからと賛成。国民民主党もガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の検討を条件に賛成しました。自党の関心政策だけで賛否を決める態度は、国民政党としてふさわしいのでしょうか。


  

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