かわら版 No.1372 『キャンプデービッド』
2023/08/21アメリカのバイデン大統領は8月18日、首都ワシントン近郊の大統領山荘「キャンプデービッド」に岸田文雄総理と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を招いて、日米韓首脳会談を開催しました。
米国大統領が日常的に国内外の要人との会談に使うのがホワイトハウスです。そして、歴代大統領が親密な間柄の首脳を招いてきたのがキャンプデービッドです。バイデン氏が2021年1月に大統領就任後、外国首脳をキャンプデービッドに招くのは今回が初めて。日米韓の連携を重視しているからでしょう。
実は私もキャンプデービッドで開催されたG8サミット(主要8か国首脳会議)に出席したことがあります。日・米・英・独・仏・伊・加のG7に加え、クリミア併合前でしたのでロシアもメンバーとするG8の時代です。
2012年5月18日午後、政府専用機でワシントン郊外のダレス空港に着きました。その後、ヘリコプターで110キロ離れた大統領山荘へ移動しました。少数の随員を除き、各国随行団と多くのメディアはワシントンにとどめられました。当時の米国大統領はバラク・オバマ。彼は各国首脳が何にも煩わされず、率直に意見交換できる静寂な環境を整えたかったのでしょう。
山荘に到着すると直ちにワーキングディナー(仕事の話をしながらとる夕食)が開かれました。夕食会の最後にオバマ大統領が、「我々には本日もう1つ行うことがある。あさって(5月20日)は野田総理の誕生日であるため、皆でお祝いしたい」と述べられ、ロウソクを灯したケーキが持ち込まれました。G8首脳に誕生祝いしてもらうとは、まさにサプライズでした。驚きはまだ続きます。
各首脳は木々の中に散在するロッジを割り当てられました。就寝前にシャワーを浴びようとすると、冷たい水がちょろちょろと滴り落ちてくるだけでした。金杉憲治・総理秘書官(現在は駐インドネシア大使)の部屋のシャワーは、湯も水も全く出なかったそうです。
翌朝、会議に向かうためロッジを出ようとしたところ、玄関前に道を塞ぐように大きなヘビが横たわっていました。SPがおっかなびっくりなのか動物愛護の精神なのか、足元でちょんちょんと突っつくと大蛇は悠然と通り過ぎていきました。
日韓の首脳は今回、どのような米国式の厚遇でもてなされたのでしょうか。
北朝鮮は今年に入って、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含め、弾道ミサイルを12回も発射しています。北の脅威の増大に対処するには、日米韓の連携強化は不可欠です。特に、北のミサイル情報を即時に共有する仕組みをつくることは急務です。
日韓関係の改善に熱心なバイデン大統領と日韓正常化に覚悟を感じる尹大統領に引っ張られている岸田総理ですが、日米韓首脳が高い頻度で会談する意義は大きいと思います。