かわら版 No.1336 『円安問題を質す』
2022/11/0711月2日、私は衆院財務金融委員会において、主として円安問題について質問を行いました。まず、政府・日銀が9月及び10月に実施した為替介入の意義と効果を鈴木財務大臣に質しました。日本だけが金融緩和を続け、円安の必然をつくりだしておいて為替介入する意味が良くわからなかったからです。
鈴木大臣は、介入は急速で一方的な動きがみられる中で実施したものであり、過度な変動に対して適切に対応する観点から「一定の効果があった」と、答弁しました。
私は、「過度な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、容認するのか」と、更にたたみかけました。大臣は円安による輸入物価の高騰が国内のインフレ要因となるため、「ゆるゆると円安に進むということも大変懸念することだ」と、述べられました。
この大臣の認識は黒田日銀総裁と異なると思いましたので、同じ質問を黒田総裁にもぶつけましたが、明確な答弁はありませんでした。
次に、米ドルがほとんど全ての主要通貨に対して独歩高となっていることをとり上げました。ドル独歩高についてG7は「各中央銀行は他国への影響の抑制に配慮しつつ金融引き締めのペースを適切に調整する」と、共同声明を発出しました。
しかし、バイデン大統領は「ドル高を懸念していない」「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」とまで、言い放っています。私は、鈴木大臣にカウンターパートであるイエレン財務長官に「米国はドル独歩高による他国への影響について、配慮が足りない」と、伝えるように要請しました。
最後に、私は黒田総裁の発言が円安に拍車をかけてきたことを厳しく指摘しました。9月22日の記者会見で、「当面(2~3年)、金利を引き上げることはない」と発言した直後、急速に円が売られました。そもそも総裁の任期は来春までです。自分の任期後の政策方針まで言及するのは越権です。
10月28日の記者会見では、「今すぐ金利の引き上げや、出口が来るとは考えていない」と語りました。決定的だったのは「為替の水準についてとやかく申し上げるつもりはないが、むしろ円高で非常に困ってきた歴史を日本は持っている」と、とやかく言い過ぎたことです。円高より円安はマシだと言わんばかりです。直後に円相場は1円ほど円安に進みました。
一連の総裁の発言は、円安に誘導する「口先介入」と同じです。私は、「市場との対話」を猛省し、情報発信のあり方を再考すべきではないかと迫りました。総裁は「発言に注意すべきとの忠告はよく理解した」と、小さな声で答えました。