詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1334 『トラス・ショック』

2022/10/24

  9月19日、エリザベス女王の国葬が荘厳に執り行われました。まだ記憶に新しいと思います。その英国において、金融市場が混乱しています。


  9月6日、不祥事が続いたボリス・ジョンソン前首相の後任に、リズ・トラスが選ばれました。彼女は保守党の党首選で、大規模減税を目玉公約に掲げ、勝利したのでした。低い税率で高い経済成長の国を実現しようとする経済政策は、「トラスノミクス」と呼ばれ注目されていました。


  同月23日、トラス政権は半世紀ぶりの大型減税を発表します。所得税・不動産取得税の税率の引き下げや法人税率の引き上げ撤回など、総額450億ポンド(約7兆円)の大減税です。


  しかも、家庭や企業向けの電気・ガス料金を半年間凍結するための600億ポンド(約9兆6千億円)の財政支出も加わりました。


  ところが、肝心の財源確保の工程を示さなかったため、英国債の価格は下落(金利は急上昇)、ポンドも対ドルで史上最安値に急落、株安も重なり、英国市場は「トリプル安」に陥りました。


  金融市場の混乱を避けるため、10月14日、新首相は右腕だったクワーテング財務相を解任しました。そして、新たに選任されたハント財務相は、「大規模減税のほぼ全てを撤回する」と表明しました。


  新政権の肝煎り政策が、わずか1か月で撤回されるのは異例中の異例です。財源が不透明なことに、金融市場が極めて強い拒否反応を示したのでした。求心力も市場の信頼も失ったトラス首相は、20日、就任からわずか1か月半で辞任表明に追い込まれました。


  英国の混迷を、わが国は他山の石としなければなりません。英国の債務残高の国内総生産(GDP)比は、87%です。日本は262%です。日本の財政状況ははるかに悪いことを強く自覚すべきです。


  岸田政権は2022年度第2次補正予算案を、11月に国会に提出し成立をめざします。与党から30兆円規模を求める声もあり、国債増発の可能性があります。バラマキ政策に市場がどう反応するのか、緊張感を持たなければなりません。厳しくチェックしていく決意です。


  

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