かわら版 No.1255 『靴を履く前に靴下をはけ』
2021/02/01バイデン政権が始動しました。気候変動に関するパリ協定や世界保健機関(WHO)への復帰など、トランプ前大統領の方針を覆す指示を矢継ぎ早に出しています。前政権が残した混乱を正常化するのは大変でしょうが、国際協調を重視する路線に期待したいと思います。
また、新型コロナウイルスへの感染拡大を止めるために、大統領の権限が及ぶ政府施設や州をまたぐ公共交通機関などを対象に、マスク着用を義務付けしました。国民に対しても大統領就任から100日間はマスク着用を求める「マスクチャレンジ」を呼びかけました。
マスクを軽視し続けたトランプ前大統領とは好対照です。前大統領は「マスク着用の強制は、アメリカの自由な精神に反する」と主張し、「つけたい人はつければよいが、私はマスクをつけたくない」とも明言していました。だから、リーダーを手本に、トランプ支援者のほとんどがマスク未着用でした。
マスク軽視に象徴される新型コロナを甘く見た姿勢が、米国本土に感染症を爆発的に拡大させ、感染者数も死者数も世界でダントツ1位の国にしてしまいました。そして、大統領選挙敗北の大きな要因になったと思います。
コロナ対策の良し悪しは、政権もしくはリーダーの評価を大きく左右します。安倍前総理の退陣にいたる人気凋落も、コロナ対応の不徹底さが遠因になったように思われます。菅現政権も支持率が短期間に大幅に下落しています。コロナ対策をめぐる迷走が最大の原因でしょう。
1月28日に成立した今年度第3次補正予算にも、その迷走が如実に表れていました。第3次補正予算案が閣議決定されたのは昨年12月15日です。その前日にはGo Toトラベル全国一斉停止が発表されながら、翌日の閣議決定ではGo To予算が1兆円余も計上されていました。全く理解できません。
そもそも補正予算は、年度内に執行することが大前提となっています。2月7日までの緊急事態宣言がいつ解除されるのかわかりませんが、解除後直ちにGo Toを再開したとしても、3月31日までに約1兆円も使いきれるのでしょうか。現実的でないというよりも、不謹慎です。
今次補正予算の大宗は、Go Toも含めてカーボンニュートラルや国土強靭化などポストコロナ時代の経済対策です。経済が重要であることは言うまでもありませんが、来年度予算案に盛り込んで丁寧に議論するのが筋だと思います。
いまは感染症対策に全力で取り組むべきです。発症しても診察を受けられない、不安におののきながら孤独に自宅待機せざるを得ない、この現実を直視し改善することこそ急がねばなりません。同僚の吉川元議員が立憲民主党・無所属を代表して、次のように討論しました。
「靴を履く前に靴下をはくべきです」と。