詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1220 『危機下のリーダー』

2020/04/23

  新型コロナウイルスによる危機は、有事におけるリーダーの力量を浮き彫りにしています。特に、知事の評価には明暗が出てきました。迅速な決断とわかりやすい説明をする知事の評価はウナギのぼり。方針が二転三転し情報発信力の弱い知事の評価は急降下しています。


  各国首脳の評価も次第にその差が明らかになってきました。概して、主要国の首脳の支持率は、新型コロナ危機後は上昇する傾向にあります。自ら感染し入院したジョンソン英国首相や、欧州で最も多くの死者を出しているイタリアのコンテ首相ですら支持率は上がっています。とりわけ、ウイルス制圧に成果を挙げている台湾、韓国、シンガポール、カナダなどからは学ぶべきことは学ばなければなりません。


  これらの国々に共通する点の第1は、マスクの使用の普及、人的接触の追跡、必要な隔離、移動の制限などを早期に実施したことです。


  第2は、早期から広範囲にわたり検査が可能な体制を整備したことです。ウイルスの蔓延状況を全域にわたって把握し、これによって対応に必要な資源を速やかにホットスポットに集中することが可能になりました。


  第3は、治療に必要な物資の不足が生じないよう、政府が全国規模で人工呼吸器などの資源を把握し、これを地域の必要に応じて配分したことです。


  第4は、コンピューター、QRコードなどを使って、人的接触を最大限に追跡し、把握できる体制を整備したことです。


  第5は、明快で一貫したガイドラインが政府によって示され、これが概ね国民の協力を得ることができたことです。


  感染者数は多いが致死率の低いドイツの充実した医療設備にも学ばなければなりません。


  翻って、コロナ危機後に評価を下げたり、支持率が下がっているリーダーが3人います。米国のトランプ大統領とブラジルのボルソナロ大統領、そして、安倍総理です。この不人気3人衆の共通点は、コロナ危機を甘く見ていたこと、過小評価していたことです。


  日本の対応に絞って検証したいと思います。まずは、初動が遅れました。国内感染者は1月中旬から確認されるようになり、ダイヤモンドプリンセス号の横浜寄港は2月4日でした。にもかかわらず、専門家会議の初会合は2月16日でした。習近平主席の国賓待遇による訪日予定もあったためか、中国全土からの入国制限も決定的に遅れました。


  緊急事態宣言も緊急経済対策も朝令暮改でなかなか定まらず、「緊急」に値しないものになってしまいました。


  PCR検査も充分に行われていません。ウイルスという見えざる敵を見える化しない限り、この敵を倒すことはできないのではないでしょうか。


  不甲斐ないリーダーの足を引っ張るのではなく、尻をたたくことが野党の役割だと思います。


  

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