かわら版 No.1219 『緊急経済対策?』
2020/04/15アベノミクスは全国津々浦々に届きませんでしたが、アベノマスクは各世帯に2枚ずつ届くことになりました。そのための466億円の無駄づかいも含めて、安倍政権は総額約108兆円の緊急経済対策をまとめました。
「過去最大規模」「世界的に見ても最大級」などと、事業規模をことさらにアピールしていますが、納税猶予分の26兆円や昨年末にまとめた経済対策の未執行分の20兆円なども含まれており、かなりハリボテです。今は規模を誇示するよりも、日々の生活に困っている人への支援を急ぐことが何よりも重要です。
ところが、柱となる6兆円超の現金給付策ですが、生活に困窮している人を支援するための1世帯当たり30万円の給付も、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円、中小企業・小規模事業者に最大200万円の給付もわかりにくい上に手続きが煩雑です。手元に給付が届くのは早くても連休明けの5月に入ってから、手間どると夏になってしまうでしょう。緊急対策としては遅過ぎです。
人は集まるな、会社や学校に行くな、お店は休めとなっている緊急事態宣言の期間中(5月6日まで)に、人々を救済できない政策は緊急対策に値しません。本来ならば令和2年度予算の成立前に、コロナ対策予算を追加し組み替えるべきでした。倒産したり、失業したり、自殺したりすることのないように、4月中には現金が届くようにするべきでした。野党の組み替えの提案に応じなかった政府・与党の硬直的な姿勢が、緊急対策の決定的な遅れを招いたといわざるをえません。
緊急経済対策を盛り込んだ今年度補正予算案は16.8兆円ですが、その全額を国債の増発で賄うことになっています。そのうち14.5兆円は財政法で認められていない赤字国債です。国難ともいうべき深刻な事態ですので、万やむを得ないと思いますが、他国の財政出動と同列に語る風潮には違和感があります。
ドイツは1560億ユーロ(約18.5兆円)の国債を発行することになりましたが、ずっと財政の均衡を保ってきた同国にとっては7年ぶりの新規国債発行です。平時は健全財政の国は、危機に際して思い切った財政出動が出来ます。借金も許されるでしょう。しかし、普段から放漫な財政運営をしてきた国の新たな借金は、相当なリスクを伴っていると覚悟しておかねばなりません。だからこそ、使途もよく精査しなければなりません。
ドイツは平時に戻れば、もともと憲法で財政均衡をうたっているわけですから、そのルールに戻るでしょう。EUも財政赤字をGDPの3%以内にするという加盟国共通ルールに戻るでしょう。残念ながら、日本は戻るべき規範がなく、このまま野放図に財政規律が緩んだままになっていくのではないでしょうか。
せめて、赤字国債の発行は1年限りとする従来の特例国債法に戻すべきです。以上のような問題意識を4月10日、衆院財金委で訴えました。麻生大臣がどこまで共有してくれたか、よくわかりませんでした。