詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1209 『台湾排除の愚』

2020/02/10

  昨年12月に中国・武漢市で発見された新型コロナウイルスは、世界中に拡散しています。猛威をふるう同ウイルスによる肺炎について、WHO(世界保健機関)はようやく1月30日、緊急事態を宣言しました。対応が遅きに失した背景に中国への過剰な配慮を感じていましたが、テドロス事務局長の記者会見はまさにそれを裏付けるものでした。


  まずは、「新型の病気が過去にないほどの大流行につながっている。だが、中国の対応も過去にないほど素晴らしい」という発言。中国政府自らが初動の不備を認め、地方当局の関係者を処分しています。にもかかわらず、WHO事務局長がその対応を称賛するとは…。強い違和感をおぼえます。


  「中国国外の感染者数が少ないことに関し、中国に感謝しなければならない」とまで語っています。国民の命と健康を守るために、各国は必死に感染拡大防止に努めています。世界経済へのマイナスの影響も生じています。何で感謝しなければならないのでしょう。嫌中ムードを煽る論調とは一線を画したいと思いますが、国際機関の責任者の媚中的言動は目に余ります。


  テドロス氏はチャイナマネーで巨額なインフラ整備を進めるエチオピア出身です。3年前のWHO事務局長選挙では、中国が彼の就任を目指して奔走したとされています。しかし、バランス感覚を欠いた過度に中国寄りの姿勢により、WHOのあらゆる会合から台湾を排除し続けるのは看過できません。


  コロナウイルス肺炎の台湾における感染者数は2桁にのぼっています。にもかかわらず、台湾がタイムリーに情報を入手できず、国際的な取り組みから締め出されていることは極めて不合理です。感染拡大防止網に穴があいたままでは、公衆衛生上の緊急事態宣言の意味がありません。


  WHOは、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国際機関です。約2400万の人口を擁する台湾がエアポケット状態では、全世界の人々の健康を守ることにはなりません。せめて、オブザーバー参加は認めるべきです。


  ICAO(国際民間航空機関)の台湾排除も露骨です。2015年、中国人が事務局長に就任して以来、台湾は年次総会等に出席できなくなりました。いま台湾への防疫情報提供を求めるツイッターのアカウントも次々とブロックされています。台湾の桃園国際空港は年間約4650万人もが利用する大空港です。適時に情報を入手できなければ、空路における感染防止は困難です。


  日本をはじめとする国際社会は保健(WHO)や航空(ICAO)といった国際機関への台湾参加を、グローバルな感染拡大防止の見地から強く主張すべきです。


  中国はチャイナマネーを駆使して、戦略的に国際機関の事務局長ポストを取ろうとしています。安倍政権も総額60兆円ものジャパンマネーをバラまいてきましたが、戦略性がありません。レバノンへの支援は231億円に及んでいますが、カルロス・ゴーン被告の身柄引き渡しですら拒まれています。


  

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